【ぼちぼちクライミング&読書】

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「小学生に授業」河合隼雄/梅原猛/編著

2015年09月14日 20時13分55秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「小学生に授業」河合隼雄/梅原猛/編著

そうそうたるメンバーによる小学生への授業。
[目次]は、次のようになっている。

梅原猛―学問の楽しさ
山折哲雄―宮沢賢治
河合/隼雄―道徳
尾本惠市―自然に学ぶ
井波律子―三国志
芳賀徹―俳句
木村汎―交渉
山田慶兒―時を計る
安田喜憲―地中の花粉

京都市の桂坂小学校の校長先生が、隣にある国際日本文化研究センター所長・河合隼雄氏に「小学校で授業をしていただきたい」、と頼みにやってきたのが始まり。
PTAの講演なら断ろうと思っていたが、授業とは!・・・河合氏は虚をつかれて驚いた。
しかし、「これは良いアイデアだ」、とすぐ思う。
こうして、小学校での「授業」が始まる。

私は、安田喜憲さんの「地中の花粉」が興味深かった。
イースター島のモアイ像の話をされるが、これがどう花粉につながるのか?

P283
花粉を調べると、イースター島には昔、ヤシの森があったことがわかった。この島は、深い森の島だったのです。
(中略)
モアイを運ぶためには、さっき言ったように、コロを使いますからたくさんの木が要ります。それから人口が増えるとタロイモやバナナを作る畑を耕作して森を破壊した。それでどんどん木を切った。
 森がなくなって雨が降ると、表土が全部流されてしまう。
(中略)
 その結果、十六世紀から十七世紀のこのイースター島は、大飢饉に直面したのです。
 食糧がなくなって、最後には、「人食い洞窟」まで出現して、人間が人間を食う事態が引き起こされた。
 そして、モアイの文明は滅んでしまったのです。(他人事とは思えない「文明の崩壊」である)

【ネット上の紹介】
「どうして勉強しなくちゃいけないの?」「わかりませーん」。小学校の教壇に立った、世界的権威の教授陣が、子供たちの率直な発言に、あらゆる知識を総動員し、身振り手振りを交えて白熱の授業を繰り広げていく。笑いあり、突っ込みありの9時限をライブ収録。


VOLARE

2015年09月13日 19時33分44秒 | クライミング(広報)


PUMPスタッフだったkonoさんがボルダージムを開いた。
阪急園田駅の近く。
行ってきた方からハガキをもらった。
陰ながら応援している。

【リンク】
http://volare-escalada.com/


散策

2015年09月12日 20時07分23秒 | 身辺雑記

時間がないので安威川沿いの散策のみ。
買い物、図書館、書店、洗濯、ゴミ出し、いろいろ用事を処理。

安威川沿いの田圃

堤防より


映像

2015年09月11日 20時55分05秒 | クライミング(一般)

Climbing-Netで、映像が紹介されていた。
良かったので、2つリンクしておく。

①野口啓代さんの”The Mandala”(V12)完登映像。
BISHOP ROCK TRIP AKIYO NOGUCHI 2015


大場美和さんの『NTTぷらら』のPR動画。
https://www.youtube.com/watch?v=WjdxcsLImlM


果物

2015年09月08日 20時22分22秒 | 身辺雑記

「果物を毎日食べますか?」というアンケート。

果物は好きなので、毎日食べている。
これを見ると、1位は「リンゴ」。
リンゴはけっこう高いのに、皆さん食べているんですね。
(ちなみに、私の好きな果物は洋梨・・・甘さと酸っぱさが絶妙。岡山名産の「桃太郎葡萄」もおいしいが、高価すぎる)


「大江戸科学捜査八丁堀のおゆう」山本巧次

2015年09月07日 20時49分20秒 | 読書(小説/日本)


「大江戸科学捜査八丁堀のおゆう」山本巧次

江戸の両国橋近くに住むおゆう。
同心の伝三郎とともに殺人事件の謎を追う。
普通の時代小説と異なるのは、タイトルにあるように「科学捜査」を行うこと。
おゆうの正体は、アラサー元OL。
江戸と東京を自由に往復し、犯人を追い詰めていく。
ただし、問題もある。
当時の江戸では、指紋もDNA鑑定も理解してもらえないこと。
いったいどうやって白州までもっていくのか?

P232
おゆうの手元には決定的な証拠がある。指紋だけではない。久之助の遺品からサンプルを採取できれば、DNA鑑定を実施して例の手拭いに付着していた血液と唾液が久之助のものだと確定できるだろうし、おそらく相州屋の汗も検出できるだろう。他の状況証拠と合わせれば、平成の検察官ならほぼ確実に殺人罪で起訴するはずだ。だが、ここは江戸。指紋鑑定も、DNAも、科学捜査と呼べるものは一切存在していない。

最後に、とんでもない秘密が明かされる。
次作はどうなっていくのか?

【蛇足・・・今後の予想】
私の予想では、『時間犯罪』の取り締まりに移行する、と思う。

【ネット上の紹介】
江戸の両国橋近くに住むおゆうは、老舗の薬種問屋から殺された息子の汚名をそそいでほしいと依頼を受け、同心の伝三郎とともに調査に乗り出す…が彼女の正体はアラサー元OL・関口優佳。家の扉をくぐって江戸と現代で二重生活を送っていたのだ―。優佳は現代科学を駆使し謎を解いていくが、いかにして江戸の人間に真実を伝えるのか…。ふたつの時代を行き来しながら事件の真相に迫る!


阿武山

2015年09月06日 19時58分29秒 | 登山&アウトドア(関西)

久しぶりに阿武山に登ってきた。

9/5(土曜)は珍しく晴天・・・用事をしようかと思っていたが、急遽出かけることにした


安威川の橋の上から阿武山を振り返る

PS
ハイキングとはまったく関係ないが、ishii君が『113手課題』(6C)を作ってくれた。
全てのホールドが持ちやすく指にやさしい課題。
しかし、前傾を下りる箇所で何度もハマる。
これぞ持久力課題、である。
本日やっとRP、ほっとした。
(以前110手課題があったが、同じくらいの難しさ、レスト力が試される)

PS2
1週間ほど前、20kgの荷物を持とうとして腰を痛めた。
身体全体が年齢とともに弱っている。
このところ山歩きをしていないのが、腰を痛めた遠因かもしれない。


「世界の屋根にいどんだ人々」安川茂雄

2015年09月04日 21時54分00秒 | 読書(山関係)


「世界の屋根にいどんだ人々」安川茂雄

著名な登山家達の伝記。
ウィンパー・ヘックマイヤー・テンジン・ブール・コガン夫人・ウェストン。
登山史を俯瞰するにも役立つ読みやすい作品。
ウエストンに関して、略歴を作ってみた。

明治21年 ウエストン、宣教師として日本を訪れる
明治25年 富士山、槍ヶ岳に登頂
明治26年 嘉門次と前穂高に登頂(徳本峠~上高地~明神池~前穂高)
明治29年 「日本アルプスの登山と探検」をイギリスで出版
明治35年 エミリー・フランシスと結婚、2度目の来日
        小島久太、岡野金治郎、槍ヶ岳に登る 
        小島久太、岡野金治郎、ウェストンを訪問(最初は岡野金治郎だけで訪問)
明治38年 ウエストンのアドバイスで日本山岳会発足
明治44年 3回目の来日
昭和15年 死去

【誤植】
間違いを3箇所見つけた
P248 Te Japaress Alps →The Japanese Alps(綴りの誤り・・・校正の方しっかりして!)
P266 その年の秋に、ウェストンは神戸から帰国した。そしてあくる年の1928年には、ロンドンのイギリス山岳会で、日本の山々についての講演をおこない・・・(略)
      ↓
     1928年=昭和3年・・・あきらかにおかしい。明治28年が正しい、はず。
P269 かれが三回めに来日したのは、1911年(明治45年)12月で・・・
      ↓
     1911年=明治44年・・・単純なミス

軽く読んだだけで、3箇所の誤り。
校正の方も、出版社の方も、しっかりしてね!


「旅路」藤原てい

2015年09月03日 20時58分22秒 | 読書(昭和史/平成史)


「旅路」藤原てい

藤原ていさんは、新田次郎夫人である。
『流れる星は生きている』の著者として有名だが、
本書では、その前後というか、半生が描かれている。
「小説」の形をとっているが、「自伝」と解してよいだろう。

新田次郎さんと結婚するときの気持ち
P56
それでも、この男に、自分の生涯を賭けてみようという気持ちが強かった。結婚とは、一種の賭のようなものだと考えた。相手のすべてを知りつくしてから結婚に踏み込むのが安全かもしれないが、もし、その安全策を取ったら、おそらく、結婚の意欲はなくなってしまうにちがいない。

敗戦による、満州からの突然の逃避行・・・しかも、子供3人を連れて。
P80
「どこへ逃げるんですか」
「南下する汽車に乗る。行先は不明だ」
 南下するとは、朝鮮を通過して、日本へ向かう汽車だった。
 私はふるえながら、荷物をルックザックへつめ込んだ。激しい目まいに襲われた。必死に耐えながら、子供達をゆり起こし、身支度をさせた。彼らは泣きわめいている。
「私達は、どうなるんですか」
「わからん、とにかく南へ逃げることだ」
「お父さん、逃げないでおきましょう。ここでみんな一緒に死にましょう」
「バカ、誰が死ぬと言った、生きるんだ」

著者は日本に辿り着くが、心身共に異常を来たし、死を覚悟する。
それが、結果として、『流れる星は生きている』を書くことになる。
P177
 その日から、フトンの上に腹ばいになって、遺書を書き出した。
(中略)
「どうか、お前達も、お母さんに負けないように、一生懸命に生きてゆきなさいよ」と。
 それにはどうしても、北朝鮮放浪の生活を書き込まなくてはならなかった。あのような苦難を一つ一つ、全力で乗り越えて来た私の姿を書いて、彼等を励ましてやりたかった。

P181
(前略)私は夫に、思い切って遺書を見せた。
それはノートに二冊、細かく書き込んであった。
「もう必要ありませんものね、焼き捨てましょうか」
 夫は吸いつけられるように読んでいる。その横顔を見ながら不安になって声をかけてみた。ふと、ノートの上に、水が落ちた。つづけて、また一滴、また二滴。それが夫の涙だと気づくまでに、数秒かかった。

【語る、ということ】
引き揚げ体験を語るというのは、誰でも出来ることではない。
戦争体験を語り継ぐ、と言うが、黙して語らずの方が大勢を占める、と考えている。
作家の五木寛之さんでさえ、引き揚げを書いたり語ったりされない。

 引き揚げのことを題材に作品を書くことを僕はしてこなかったんですが、おそらくこれからもしないと思います。自分の体験した非人間的な出来事を書くというのは、自己告白とか懺悔とか、そういうことにつながるものでしょう?それはやはり、天に対して行うべきもので、公表してやるものではないという気がします。「昭和二十年夏、子供たちが見た戦争」梯久美子よりP312

【総括】
今まで、満州からの引き揚げ記録を何冊か読んできたが、どれも極限状態である。
その時、普段見せない裏の裏まで人間性が現れる。
東日本大震災では、粛々と避難する日本人が、世界から絶賛された。
でも、本当のところはどうなんだろう?
軍隊で、初年兵はいじめられ、「教育」という名の暴力が横行した。
疎開児童もいじめられ、自殺者も少なからずあったと聞く。
日本人のいじめは、今に始まったことではないのだ。
そこのところを押さえておく必要がある。

【参考図書】

【ネット上の紹介】
戦後の超ベストセラー『流れる星は生きている』の著者が、30年の後に、激しい人生の試練に立ち向かう苦闘の姿を描く、感動の半生記。自伝小説。
[目次]
第1章 女学校時代
第2章 新婚生活
第3章 放浪生活
第4章 夢に見た日本
第5章 成長した家族たち


「梅原猛の授業道徳」梅原猛

2015年09月01日 20時59分15秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「梅原猛の授業道徳」梅原猛

先日紹介した「梅原猛の授業仏教」に続く「授業シリーズ」第2弾。
平成14年4月から9月まで12回にわたって、京都の洛南高等学校附属中学3年生に行った道徳の授業をまとめた本、である。

P119
ところで旧約聖書の「殺すなかれ」というところをよく読んでいくと、殺してはいけないのは、同じ神を信じている人たちのことなのです。つまり、エホバの神を信じている同じ仲間を殺してはいけない。
(中略)
ダヤの人たちは三千年以上前、エジプトから今のイスラエルのあるカナンの地へやってきて、そこに住んで別の神を信じていたカナン人を追い出した。抵抗する人は皆殺しにしてイスラエルという国をつくった。それがイスラエルの建国のはじめです。
 今のイスラエルも、第二次大戦後に同じことをやってしまった。

[殺すなかれ」について、さらに言及
P125
ところが、釈迦をはじめ東洋の考え方には、人間が他の動物よりすぐれていて、人間が動物の生殺与奪の権を持っているという考え方はないんです。人間も動物も同じ命を持っている。命を持っているものは、その命を大切にしなくてはいけないというのが仏教の考え方ですね。

【蛇足】
日教組の功罪は、色々あるだろうが、道徳教育を軽視したことは「罪」にあたる。
自分たちの労働条件を良くしたのは良いことだが、子どもの教育に対しては、
どうなんだろうと思ってしまう。結局、内部分裂(共産党系と社会党系)し、
現在、組合に加盟する教師は減少し、非正規雇用教師も増えてしまった。
「人間の壁」(石川達三)の頃は遠くになりにけり。
そもそも、教育現場にイデオロギーの対立を持ち込んだのがいけなかったのか。
(今の教師は、「組合」に入らず、「保険」に入る・・・組合より保険の方が守ってくれる?)

「この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」」P148より

[目次]
いま、日本の道徳はどうなっているか
明治以後の道徳教育はどうなったか
道徳の根源をどこに求めるか
自利利他の行と仏教・キリスト教
自利利他の道徳と社会 家族・会社・国家
第一の戒律 人を殺してはいけない
第二の戒律 嘘をついてはいけない
討論 『よだかの星』と『坊っちゃん』
第三の戒律 盗みをしてはいけない
人生をよりよく生きるために(努力と創造
愛と信
感謝と哀れみ)

[目録情報]
やさしい言葉で日本人の生き方を説く,『仏教』に続く授業シリーズ第2弾!(哲学・思想図書総目録より)