政治の話はあまりしないつもりだったのですけど、これまでの自民党政治(=官僚政治)とは何であったか、二年前の政権交代で小沢氏が目指したものは何であったか、マスコミや国家権力を用いた二十年以上にわたる小沢氏バッシングの本質とはなにか、非常によくまとめられている記事を目にしたので紹介します。この記事では、今回のドジョウ内閣がやはり財務省官僚の傀儡だという読みのようです。確かに政調の復活とか、そこにマエハラ氏のような官僚の手先を据えたところなどはそう思わせます。しかし、幹事長に輿石氏、外務委員長に田中真紀子を配置したという辺りの本心がよくわからないのです。小沢派のガス抜き目的なのか、あるいは、ひょっとしてこの人、財務省傀儡のフリをしていたダブルエージェントなのか。偽メール事件の時の対応や財務大臣の時の発言など、過去から判断すると、やはりただのドジョウか家畜化したイノシシか、と思ったりもするのですけど。
財務省と仙谷が仕切る野田政権の本質は、「官僚の生活が第一」の再構築内閣だ! (日々坦々)
早速辞任に追い込まれた経産相の後にエダマメがノコノコでてきました。オフレコで本人も覚えていない「放射能をつける」発言が一斉に新聞の一面に載るという異常さに「開いた口が塞がらない」人も多いでしょう。官僚マスコミがグルになって原発反対派のこの大臣の揚げ足をとって辞めさせて、扱いやすいエダマメを出してきたわけで、野田氏がどこまでかかわっていたのか知りませんけど、この人事をみてやはりこのドジョウは喰えないと思いました。
さて、アメリカでは、オバマが$450Bの経済刺激政策法案を通したいと、先週木曜日、議員に向けて演説。その様子は全米に生中継されました。緊縮財政、小さな政府を主張する共和党が既に下院では過半数を占めている状況で、スピーチに対する共和党議員の反応はやはり冷ややかでした。アメリカ経済を好転させなければならない、というオバマの主張に関しては、民主党も共和党も一致しています。ただそのやり方に関して意見の相違が大きいということだと思います。オバマはアメリカ経済のために「この経済刺激法案を通さなければならない」とくどい位に繰り返していましたが、ねじれで下院を共和党に握られている状況での焦りが感じられました。縁起でもない話ですが、「法案を通さないとオレは辞めない」と言って顰蹙を買った空きカンをふと思い出しました。演説翌日の株価は下落、演説は下院多数の共和党の抵抗感を引き出してむしろ逆効果だったのかもしれません。
アメリカ構造言語学の祖、MITのチョムスキーの講演集「現代世界で起こったこと- ノームチョムスキーとの対話 1998-1999」(田中美佳子訳 日経BP社)を借りて来て読んでいます。これは言語学の本ではもちろんなく、活動家としてのチョムスキーの発言集です。まだ一部しか読んでおりませんが、いちいち頷く事が多く、チョムスキーの博識と慧眼にあらためて驚きます。この本は2001の9-11前に出されたもので、10年以上前のものですが、日本語訳は2008年に出ています。訳者の田中さんは、あとがきの中で、「偉大な救済者でもヒーローでもない普通の人たちが、こつこつと努力を続けた結果、現在の世界は数十年前と比べても格段に良くなっています」と言っています。本当にそうなのかどうか私はよくわかりません?確かに世界最大のテロ国家とチョムスキーが位置づけるアメリカがケネディー時代を頂点に徐々にその無法ぶりが抑えられて来たのは、少なからずアメリカ人を含む一般民衆の努力ゆえだと思います。しかし、日本国内に限ってみれば、今は、小泉売国政策のあおりで尻に火がついて、ようやく日本の官僚主義という搾取システムを何とかしないといけないと人々が思いはじめた段階に過ぎません。(その自民党の売国政策のウラには無論、アメリカと財務省がいるわけです)アメリカにおいても官、財、マスコミがタッグを組んで一般アメリカ人を洗脳し搾取してきたのは知られてはきましたが、まだまだそれが目に見えて改善している様子はないように思います。イラク戦争が失敗に終わり、アメリカの体力も落ち、諸外国へのアメリカの無法極まりない介入は確かに減りました。しかし、アメリカ内部、そして日本内部に目を向けてみれば、社会が本当に進歩して本当の民主主義に近づいてきたとはとても思えません。
競争原理主義、資本主義は労働者を人間ではなくモノと見、労働者は逆に資本家を搾取者と見る、喰うか喰われるかという対立関係が軸になっています。その非人間的な社会に、今われわれはいます。チョムスキーはこの本の中で、次のマルクスの言葉を引いています。
「社会主義は人間の動物的問題を解決するための試みであり、われわれは動物的問題を解決して初めて人間の問題にとりかかることができる」
人間の動物的問題とは、自分の利益ために他人を利用し搾取するということ、即ち、競争原理至上主義のことを言っているのでしょう。この動物的問題こそが資本主義の本質に他なりません。そして現在、富の殆どを少数の人々が独占する一方で一般人は毎日の生活に喘ぐという極端な富の偏在がいよいよ社会そのものを破綻させようとしている段階に近づきつつあると思います。チョムスキーはアメリカが恐れてきたのは市民の蜂起による革命だと述べています。日本同様、アメリカの報道機関も北朝鮮同様、プロパガンダ拡散機関です。丁度、10周年ですが、残念ながら、9-11に対する人々の反応を見ても、一般アメリカ人は市民蜂起に至るような意識レベルにはまだまだ至っていないようです。ヨーロッパやカナダでは、9-11を、アメリカの言う通りにイスラムテロリストグループやアルカイダの仕業だと本気で信じている人はむしろ少数派でしょう。(チョムスキーはアメリカ政府が9-11テロに積極的に関与したとする説に関しては否定的なようですが、9-11をブッシュ政権が十分利用して利益を得たとは考えているようです)そもそも、ペンタゴンの存在意義とは防衛そのものではなく、防衛に関連するハイテク産業に税金を回す目的だというのがチョムスキーのスタンスで、ちょうど日本の官僚がハコモノを乱立させるのと同じです。
このアメリカの構造はそっくり、そのまま日本に当てはまります。日本では官僚組織、財界、マスコミ、そしてアメリカ、が一般人の犠牲の上に利を貪っています。かれらの悪質さについては特に今回の地震に関する対応で一層、明らかになりました。
ゆえに、日本を良くするには官僚組織を中枢とし国家権力を操るこの利権集団の改革が何より大切なのは自明でしょう。だからこそ、政治主導で官僚組織改革、天下り禁止、マスコミのクロスオーナーシップの禁止、対等な日米関係を公言する小沢氏を、二十年に渡って、官僚(検察)やマスコミが、よってたかって不法に攻撃してきたワケです。それでも長年にわたるマスコミの洗脳が効いているのか、大学教授のような知的職業にある人間でさえ、小沢氏の目指しているものを理解しようとせず、単に小沢は古い体質の政治家だから消えて世代交代するべきだ、というマスコミの誘導をそのまま信じているような人もいます。マスコミが意見を押し付けようとしている時には、彼らにとって都合の悪い言うことを隠し、都合の良い方向へ誘導しようとしている可能性を考慮しないといけません。彼らにとって都合のよいことは、とりもなおさず一般日本人の不利益です。それがわかっていて、まだ小沢氏は消えるべきだと思う「こちら側」の一般日本人がいるとしたら、私は洗脳の病も膏肓に入ったと思うしかないと感じます。
下のビデオを見つけました。2003年のインタビューで、6分あたりから日本の現状について述べています。