百醜千拙草

何とかやっています

若い世代

2011-09-16 | Weblog

ちょっと前の柳田先生のブログで、若い人の人付き合いに関して次のようにありました。

このあいだ札幌で話をしたひとたちはおおむねわたくしより10才から30才くらい若い範囲なのですが、異口同音に聞かれるのはいまどきの若者への不安でした。
共通的に聞かれるのは、同輩同士の関係には非常に気を使ってそれなりに上手にやっているが、年齢がはなれた人たちとの関係をつくれない。それで年上からみると、共通しておとなしくなってしまう。
離れた年齢のあいだでの断絶が問題になりつつあるのか、それとも若者がおとなしいのが問題なのか、そこのところがはっきりしません。

同輩同士の関係はまずまずだが、年齢の離れた人との関係を作れないというのは、日本だけではないと私は思います。自分の回りに線を引いて、味方と敵に分けてしまうやりかたの延長だと思うのです。例えば、現代のアメリカの都会に住む若者の9割5分はこのタイプだと思います。アメリカの都市のように多民族国家で移民が常に流入してくるような社会で、かつその生活レベルが年々下がっていっているような所では、事実、自分の常識の通用しない人間がすぐ横にいることも多く、他人に対して疑り深くなってしまい、それで最初から敵と味方に色分けするのではないかと想像します。結果として、自分のよく知っている人間だけとしかつきあわない、それ以外はたとえ同じ職場の先輩や上司であろうと、あいさつさえしないし、原則無視という態度になって現れるのではないかと思います。社会が平和で豊かで安全であれば、敵と味方に分ける必要はないわけで、逆に、構成員同士が信用できないような社会では、敵味方の線引きがはっきりするのもやむを得ないと思います。衣食足りて礼節を知るですから、喰っていくのに精一杯の国で、人間としての高潔さや善良性を求める方が無理というものでしょう。日本でも貧しい時代は、人を見たら泥棒と思え、と教育されてきました。社会が豊かになって安全なのが当然となったときは、人は自然とガードを降ろすのではないでしょうか。そう考えれば、現代アメリカ社会は以前の豊かさを失ってしまっているのだろうと思います。事実、アメリカの一般家庭の平均所得はこの30年間かわっていません。一方で労働時間と共稼ぎ世帯は相当に増加、モノの価格も上昇していますから、平均的アメリカ人の生活レベルは30年前に比べて、かなり落ちたと言えるでしょう。現在すでにそうなってきていますが、日本もアメリカも今の若い世代が大人になるころは、物質的にはおそらく彼らは総じて親の生活レベルよりも低い生活をすることになるでしょう。我々が若い世代に関して思う問題というものは、当然ながら彼らのintrinsicな問題ではなく、彼らが育ってきた社会の問題を単に反映しているのだと私は思います。ならば、責任はむしろそういう社会をつくってきた上の世代にあるでしょう。若い人が世代をこえた関係を作りたがらないのは、本能的に危険を察知しているからなのかも知れません。大学教授に騙されてポスドクをやって使われて捨てられたというような例を聞いたりして、上の世代を警戒しているのかも知れません。

それぞれの世代にはそれぞれの不満があるものだと思います。私の親の世代は気の毒でした。あの気違いじみた戦争と敗戦で成長期に十分食べることもできずに育っています。我々のちょっと上の時代は戦後のベビーブームで、過当競争の中で育っています。そして、私の世代はちょうどベビーブーマーが社会のポジションを埋め尽くした後、そして高度成長が止まって余った金がバクチに流れ、そのバブル経済の徒花が散ったころに社会に出ました。つまり私の世代以後の世代は、日本がいよいよ下り坂に入ったことを国民が実感したあとの世代です。そして日本経済は以後そのまま低迷したままです。早い話、これまでのような企業中心の資本主義は破綻して死ぬべき時期にきていると思います。これまでの30年間、アメリカや日本のしてきたことはその死んだ馬にムチを当てて、あたかも生きているかのように振る舞っていたということではないでしょうか。

それはともかく、それでは今の若い世代や私の子供が大人になるころの社会を考えると、先が読めないという点で大変だなあと思わざるを得ません。何十年か前、中学時代の社会の先生が、私たちに向かって「お前たちはこれからの大変な社会を生きねばならないから大変だなあ。オレはそのころにはあの世に行ってしまっているから気が楽だ」と言ったのを覚えています。いずれにしても未来は常に大変なものなのかも知れません。ただ、今は日本は本当に行き詰まっていると思います。高度成長がとまり、大災害が起こり、国が貧しくなっていっている一方で、高齢化と少子化が進んできています。そして今後十年以内に数百万人単位で放射線後遺症によるがん患者が出てくるだろうと推測されています。やはり、大変な事態だと思わざるを得ません。少子化はむしろ歓迎すべきことでしょうけど、ベピーブーマーの急激な高齢化や放射線障害者の急激な増加が社会に及ぼすショックをうまく受け止めないといけません。しかし今の政府ではムリでしょう。

ところで、所信表明、野田氏が早速、原発再開と増税を口にし、臨時国会は4日で閉めると言ったようです。やっぱり、この人はただの財務省の飼いブxだったようです。原発再開とか増税をする前にやらねばならないことがこんなにはっきりしているのにやらない。やるべきことを何もやらずして責任を国民に丸投げするのはこれまでの自民党と全く一緒です。しばらく前、複数のブログで、内閣参与に細川前首相の秘書官、成田憲彦氏がついたことの意味が述べられてありました。つまり、野田氏一人では危なっかしいので、不肖の弟子が可愛い細川氏が、代表選に際して小沢氏と野田氏の会談をセットアップした上で、後見人をつけてやったということです。問題はこの後見人がどれぐらい、すでに財務省の傀儡と言われるこの不肖のブxをコントロールできるのかということです。前の空きカンでわかったことは、一旦、首相になってしまうと、どんなにヒドい人間でも辞めさせるのは大変だということなので、注意しないといけません。輿石氏の幹事長人事などをみて一縷の期待もありましたが、この所信表明を聞く限りは、やはりハズレのようです。輿石幹事長という人事は単に首相になりたい一心で、この人が小沢氏の要求を飲んだだけのことだったようです。日本の夜明けは遠いです。

もう一つ、原発反対派の鉢呂氏が「放射能をつける」発言をでっち上げられて辞めさせられた事件ですが、その事情が本人のインタビューと共に明かされています。やはり原発利権連中の陰謀だったようです。まったく恥知らずで悪質極まりない大手マスコミには開いた口が塞がりません。

鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった (現代ビジネス)

明日から学会で一週間ばかり出張します。その間は、ニュースは天気予報ぐらいにして学問に集中したいと思うので、ブログお休みします。

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