百醜千拙草

何とかやっています

末期の資本主義

2014-12-02 | Weblog
金曜の夜遅くに、余り点数が良くなかった研究費申請の評価表の詳細が出ました。月曜の5時が〆切の補助資金への応募にこれが必要だったのですが、今回なかなか出なくて諦めかけていたのです。金曜深夜に出たようで、土曜の朝に気がつき、申請をどうするか、週末にでしたがメールしたり電話したりして、結局、出せるのなら出そうということになり、申請書を書き始めました。全部で5ページ。評価の詳細を読んでどう対応するかを作文して提出しないといけません。研究申請書の評価を見ると、一人のレビューアには大変好評でしたが、あとの二人はあまり好意的とはいえません。かなりインパクトのある未発表データを申請書に入れたら、「重要なデータはもう出ているのだから研究費をサポートする必要はない」みたいなコメントがあって、萎えました。かといって、このデータを入れないと、「研究アのリスクが高過ぎる」と言われるのはわかっているので、入れないわけにはいきません。また、研究の新規性については、コンセプトが新しいことを相当強調したのに、その辺はほとんど評価されず、新しいマウスを作っていないとか解析方法が陳腐だとかのテクニカルな目新しさがないことを批判されました。コンセプトの新しさを売ることは技術の新しさを売るよりも難しいのはわかっていましたが、これほどとは思いませんでした。次は、最近のホットな研究技術を潜り込ませるしかないです。今回の補助資金への応募を出した後に、本格的にどう対応するかを考えねばなりません。
それで、週末と月曜日の午前中はその補助資金の申請書書きにに忙殺され、今ようやくメドがついてホッとしています。通るという保障はありませんが、先立つものがなければ先に進めませんから、やれることをやるまでです。

先立つものを得るために、研究者も普通の大勢の人も苦労します。しかるに、近年では、格差が広がり、一部の人は必要以上に富み、その他大勢は貧困に沈む、という資本主義の本来の姿があらわになってきました。生産と消費の増大が継続しているうちは、それでも一億総中流というのが可能でした。しかし、カネのために、必要もないのに、生産し消費しつづけることには無理があります。とくに、最近の日本では、第三次産業、つまり本来、絶対に必要不可欠ではないような仕事、が経済の主流になってきています。朝から晩まで必死に働いて、ビデオゲームなど遊びの道具を作ったり、インターネットコンテンツを作ったり、マネーゲーム(博打)をしたりしたりしています。それも余裕があって文化を育んだりヒマつぶしのためにやるというのではなく、仕事がないとカネが手に入らないので、必要もない仕事をわざわざ作ってやっている、という本末転倒状態なのです。資本主義ではカネは力であり、それゆえに人はカネにしばられしまうわけです。最も必要のないものと言えば「戦争」でしょう。近代の戦争は、戦争に使う物資の消費と生産を増やし、カネをもうけるために行われてきました。その本場のアメリカでさえ、それももはや限界にきつつあります。戦争放棄している日本においては、戦争で景気をよくするというのは最初からオプションにありません。そんなわけで、管理通貨制による資本主義は、早晩、成り立たなくなるだろうと私は思っているのですが、最近、ちょっと前の内田樹の研究室のエントリー、「資本主義末期の国民国家のかたち」を読みました。タイトルを見て、この人も現在「資本主義の末期」であると認識しているのだなあ、と思いました。かなり長文の本文は、ほとんどが、対米従属の中で国益を追求しようとした戦後日本の話であり、それが、時間を経て、現在の官僚やアベ政権のような近視化、幼稚化したリーダーシップへと世代交代するにつれ、その考え方どんどん誤解され矮小化してきたという話が主です。資本主義に直接言及した部分は少ないのですが、多分、短期的利益のために自分が住む国を売り、国の将来を潰し、同胞と自らの子孫に犠牲を強いるというところまで、行き着いてしまったことをもって、「末期的」と言っておられるのだろうと思います。健全な資本主義、そんなものがあるかどうか知りませんが、カネが力であり、カネで人を支配するシステムが資本主義と呼ぶのであれば、現在のそれは、本来の主体である国や人間の健全性を無視した非常に病的なレベルに達していると私も思います。いわば悪性化し進行した腫瘍のようなもので、その点から見れば末期です。放置すれば国を滅ぼし人を滅ぼし、そして自らを滅ぼすことになるだろうと私も想像します。現在の政権は、短期的にそのシステムから利益を得る一部の人の利益のために、その進行を早めようとしてきました。このタイミングでの解散は4年の政権延長を果たして、その間での消費税増税を確実にするためです。末期資本主義という病態を破滅ではなく、よりダメージの少ない状態でコントロールしていくためには、現政権にさらなる4年の権力を与えてはならないと私は思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする