百醜千拙草

何とかやっています

続 東京新聞社説

2015-01-09 | Weblog
何かと忙しく仕事以外のことを余り考えている時間がありませんが、毎朝、東京新聞のヘッドラインはウェッブでチェックしています。
「B層」という言葉は随分以前から聞きます。多分、自ら知ろうとし自分の頭で考えることを余り重視しない人々、端的には世間のことはテレビやマスコミの言うことを真に受けてそのまま自分の意見にしてしまう人、のことを言うのでしょう。民主主義ですから、よく考えて良心にしたがって最適と考える判断を下す人の意見も、何も考えていなくてテレビのいうことをそのまま言う人の意見も同じ重さです。日本なんか放射能まみれになって人が住めなくなっても気にしないという人の意見も、子孫に安全で住みやすく自然豊かな国を残すのが現世代の努めであると思う人の意見も同じ重さです。

社説でアベ政権批判を続ける、数少ない良識派新聞、東京新聞の先日の社説も改憲をもくろむアベ批判。そこで阪大で人気の憲法の授業をしている方の書いた本のことが紹介されていました。以下、抜き書き。

◆まず「知憲」が出発点
 「護憲とか改憲とかいう前に、『知憲』でっせと声を大にしていうてます」-。これが谷口さんのスタンスです。学生が憲法を知らない現実があるからです。

集団的自衛権の行使容認は「ヤンキーのけんか」に例えます。
 「仲良しのツレがやられて、ツレの方がいじめてる側やのにとか関係なく、『ツレやから』という理由でケンカに行くようなもんですわ。ツレが悪い奴(やつ)やったらというのは、すっ飛ばすんですな」

◆「あっさり奪われる」
 自由と権利を憲法は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と記します。
 「人権を守るには『不断の努力』と『普段の努力』が必要ですねん。そうせえへんかったら、あっさり人権なんか奪われていくことを自覚せなあきまへんな」
 憲法の危機には「普段の努力」が欠かせません。


多くの周辺10メートル範囲の自分の生活にしか興味のない国民は、アベが何をしようとしているのかさえ知らないのです。でも、自民党に入れたら給料がトリクルダウンとやらで上がるかもしれないと詐欺にあって、自民党に投票したりするのです。知らない、興味のない人にどのようにして、アベ内閣の異常さと危険さを知ってもらえるのか、難しい問題です。そういう人は東京新聞の社説は読まないでしょう。

自由と権利は国民の不断の努力によって保持しなければ奪われる、これはその通りだと思います。民主主義、立法主義というのは、他の動物の世界を見てみればわかるように、大変、不自然なものです。かつては人間の世界でもも力のあるものが弱い者を喰いものにするのがあたり前でした。近代になって、民主主義という形態を発明して、殺しあいで他人の損の上に自分の得を目指すよりも、共栄共存をめざし、そして、より「人間らしい」社会をつくろうとしたのです。アベがやろうとしていることは、端的には、人間の社会をもう一度、動物の社会にしてしまえ、ということでしょう。生存が第一目標となるような社会に文化も人間性も育ちません。しかし、近視で刹那的かつ自己中心的な人間が日本の社会を動かしているという現実があります。類が友をよんで、本当は、このようなことを続けると日本は滅ぶかも知れない、とは思ってはいても、周りの人間が皆やっているからと自分の頭で考えることを止め、そして自分の頭というものさえないような人間を神輿に乗せて、赤信号をみんなで渡るような無茶をしています。何のことはない、支配者層そのものが「B層」なのでした。
そのことを知らねばなりません。

更に8日の社説でも戦争のできる国にしようとするアベ政権を批判。

◆頬かむりする政治家
 アーミテージ・リポートは、集団的自衛権の行使解禁と原発再稼働も求めています。安倍政権が次々に受け入れているのをみると、日本を自分たちの言いなりにしたいジャパンハンドラー(日本を飼いならす人々)の言葉を真に受けているとしか思えません。
 政治家は自らの判断によって引き起こされた結果に責任を負わなければなりません。あえていうのは、自衛隊の活動が憲法違反との判決を受け、政治家が頬かむりした実例があるからです。
 イラク戦争でクウェートに派遣された航空自衛隊は〇六年七月、陸上自衛隊のイラク撤収を受けて、空輸対象を米兵に変えました。もちろん政治の判断です。政府は米兵空輸を伏せ、国連物資や人員を空輸すると発表しました。、、、
 非戦闘地域へ派遣されたはずの陸上自衛隊の宿営地へは二年半の間に十三回で二十二発のロケット弾が発射されました。無事帰国した隊員のうち、陸上自衛隊は二十人が自殺、航空自衛隊は八人が自殺しています。、、、、
◆首相が狙う憲法改正
 年末には日本防衛の指針「防衛計画の大綱」が見直され、国際平和協力活動という名の「戦争」や「戦争支援」が本格化する公算が大きい。そうなれば、憲法九条は何も禁止していないのと同じことになります。 政権の思惑通りに安全保障関連法改正が進めば、次は安倍首相が「私の使命だ」と明言する憲法改正です。 戦後七十年の節目に、日本は重大な岐路に立ちます。


大手新聞で、「ジャパン ハンドラーズ」という言葉を目にするとは思いませんでした。東京新聞も余りにアベが危ういので、なりふり構っていられないという危機感があるのでしょう。戦後もずっとアメリカの植民地で、アメリカが日本人エージェントや「知日派」米人を通じて、日本を実質植民地状態においてきたことはわかってはいても口にはしないのが暗黙のルールでした。しかし高度成長期の後期やバブルの時代に育った世代は、その植民地支配の実体をほとんど知らずに来ている人も多いと思います。(日本は豊かであり、知る必要もなかったということでしょう)

大人であれば、戦争で負けたなら、くやしいが、失敗から学び、戦争にかかわらずに幸せに生きていく新しい方法を探そうと前向きに考えるものです。子どもは、戦争で負けたから、やり返してやると思うでしょう。しかし、当のアメリカにやり返しても勝てないので、逆にそのいじめっ子の使いパシリとなって、自分より弱そうな相手を探して鬱憤を晴らそうとする病的な行動をとろうとしたりします。困ったものです。
コメント
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