百醜千拙草

何とかやっています

ピースとハイテク

2015-01-16 | Weblog
昨日は、実験計画の相談をしに別の機関に行きました。トップレベルの研究室がひしめくハイテク研究所で、数年前に別の研究室に行ったときも感心しました。ロビーには高さ5メートルはありそうな電光ディスプレイが数台並べてあって、研究成果などを宣伝しています。その時は、PCRルームという50台ほどのPCRマシンを一人のオペレーターがコンピューターで集中制御して、大量に多種のDNA増幅をやっている部屋とか見せてもらって、テクノロジストとバイオロジストの差でもあるのでしょうが、それでも零細企業の私の所とはスケールが違うな、と思ったことを思い出しました。今回会った人たちのオフィスは、昨年建て増ししたガラス張りのビルの五階にありました。全面、ガラス張りのドアから、オフィスに入ると、窓に面していないオフィスの壁の一面は天井から床まで全面がホワイトボードになっていて、思いついたことを書き込めるようになっています。
 今回は、レポーターマウスを作り、その細胞で、ウイルスライブラリーを用いてゲノムワイドでスクリーニングをする、という力技の研究計画をバックアップのプランとして考えていて、専門家に話を聞きにいったのです。一応、shRNAウイルスライブラリーは、色々なスクリーニングに対応できる状態で、私の系にも使えそうとのこと。最近はCrispr/Casを使ってのゲノムワイドスクリーニングをやりはじめたとの話。shRNAよりもCrispr/Casの方がOff-target effectが低く、効率もよさそうとのことでした。ただし、ゲノムワイドのスクリーニングのためには、Cas9を最初から細胞に発現させておいてからガイドRNAのウイルスライブラリーを使わないといけないこと、ゲノムをカバーするガイドRNAはまだ個別には合成できておらず、現在はランダムに合成してブールしたものを使っています。プールしたライブラリーを一ウイルスが一つの細胞に感染するぐらいの条件で感染させ、スクリーニング法を工夫してヒットした細胞を分離できるようにしておいて、そこから逆にガイドの配列を読んで遺伝子を同定していくという方法をとっています。この方法だと、コストやセットアップがかなり節約できるのですが、すべての細胞が安定してスクリーニング用のマーカーを一定レベルで発現していることが条件となるので、細胞がヘテロな集団のものには向かないという欠点があり、私の場合はちょっと難しいような感じです。
それにしても、年をとってきたせいか、こういうハイテク研究はあまり性にあいません。すごいなー、ヘー、と他人ごとになってしまいます。昔はハイテク好きでしたが、最近は自分の電話でさえ使い方がわかりません。

さて、憲法改悪を経て軍国独裁国家へと進みたいアベ政権、わかっていたことですが、公言されるとムッとしますね。

首相、憲法改正「自然なこと」 維新の協力に期待

 安倍晋三首相は14日、関西テレビの番組に出演し、憲法改正に強い意欲を示した。「憲法を変えていくのは自然なことだ。私たち自身の手で憲法を書いていくのが、新しい時代を切り開くことにつながる」と述べた。
 同時に、今後の改正項目の絞り込みに関し「これから議論するが、維新の党やほかの党にも賛成してもられえれば、ありがたい」と他党の協力に期待を示した。
 現行憲法について「成立して70年近くになる。占領下でできた経緯があり、日本人が自らの手でつくったとは言い難い」と指摘した。


批判的に読まなければ、納得できなくもないような言葉に聞こえますけど、あいまいな言葉をわざと都合良く使っています。

第一に、「憲法を変えていくのは自然なこと」ではありません。憲法がコロコロ変わるようでは国の土台がないのに等しいです。憲法は、権力をもっている人間の暴走を防ぐのが本来のその主旨であり、アベ氏のように権力をもっている側の人間が憲法を変えると明言すること自体が、極めて不穏な異常事態です。
第二に、「私たち自身」の手で憲法を書いていくのが、、、云々、とありますが、その「私たち」とは誰なのかということです。普通に聞けば、(憲法の主旨からしても)一般日本国民だと読むのがあたり前ですが、もちろん、アベ氏が言っている私たちとは、権力を持っている側、政府官僚であって、一般国民ではありません。彼らは、国民が選挙で選んだ政治家が官僚を使って国の政治をするという議会制民主主義の建前を言い訳に使って、議会で多数決で政治家が決めたことは、国民の総意を反映しているのだから、アベの意見は私たちみんなの意見だ、という理屈を使うのでしょう。憲法などという国の根幹に関わる原則を買えようとするのならば、スイスのように直接、国民投票でやるべきでしょう。
そして、確かに日本国憲法はGHQが書いたものです。だからと言って、アメリカに書いてもらったものだから気に喰わないので、書き直したい、というのは子どもじみた反応です。現在でも実質、日本はアメリカの植民地なわけですし。アメリカで発明された車に乗り、エジソンが作った電球の下で本を読み、iPhoneで電話をしていながら、これらはアメリカのものだからダメだとは誰も言いません。これらに関してはどこの国が作ったかどうか関係なく、役に立つのならそれでいいと思っているのです。日本人の手で憲法を書きたいというのなら、とりあえず頭をチョンマゲに結うところから始めて見たらどうでしょう。日本国憲法はGHQが書いたものであっても、一部はアメリカの利益のために書かれたものでも、基本的には国のあり方の理想をこめて書かれたものです。よく書けているのなら、べつにGHQのものであっても良いでしょう。そもそも、アメリカとケンカして勝つ実力もなく、この70年ずっと植民地状態に置かれておきながら、体裁だけを気にするというのが子どもじみています。

さっき見た新聞では、年末、年越しライブで紅白に出たサザンオールスターズの桑田さんが、ヒトラーばりのちょびヒゲをつけてテレビに映り、「ピースとハイライト」という反戦歌を歌ったことなどに対しての釈明記事が出ていました。ちょびヒゲは「楽しんでもらうためにやったことで他意はない」とありました。どうせなら、もう少し具体的に「右傾化し、ヒトラーのように独裁国家を目指して国際緊張を高めるアベ政権を批判するようなつもりではありません」とでも釈明してもらったら良かったな(無理でしょうけど)と思いました。
コメント
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