百醜千拙草

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ブーチン-アベ会談の最後の10分

2015-10-02 | Weblog
先の国連総会でアベ氏はプーチンと40分会談し、最後の10分は人払いまでしたという話です。その最後の10分で、一体、何を話をしたのだろうか、と想像していました。

東京新聞によると、

安倍政権は今回の会談を、ウクライナ情勢で中断していた北方領土交渉の「再スタート」と位置付けているが、プーチン政権は日本側に歩み寄る兆しすら見せていないのが実情だ。
 会談冒頭で、安倍氏は自身が自民党総裁に再選されたことを強調し「さらに腰を据えて平和条約交渉に取り組む素地が整った」と意欲を示した。一方プーチン氏は日ロの経済協力拡大への強い期待感を表明したが、領土問題には言及しなかった。
 ウクライナ危機をめぐる欧米との対立や中国の景気冷え込みで、日本との経済協力の重要性はさらに増している。しかし愛国主義の高まるロシアに領土交渉で歩み寄る気配はない。


アベ氏がプーチンに擦り寄る目的はただ一つ、北方領土問題でしょう。経済政策が失敗し、戦争法案では戦後最大規模のデモが起きるほどの(今回の国連でも、ニューヨークでアメリカ市民までが参加しての反アベデモがあったそうです)国民の反感を買い、支持率は低下する一方です。何かプラスの材料が欲しい、それが北方領土問題に関する進展だと思います。対して、プーチンが日本に臨むことは、経済交流、そして、ひょっとしたら、もう一つ、軍事協力ではないだろうか、という気がしました。最後の人払いをしての10分の会談で、その取引、すなわち北方領土問題の対話の促進とシリア問題への日本の介入、をアベ氏は持ちかけたのではないだろうか、という勘ぐりをしています。

オバマはイラン、ロシアと強調してISISに対処する用意があると演説、しかしアサド政権はアメリカ戦争勢力の顔を立てて潰したい、一方、プーチンはアサド政権を支持することでISISを抑え込みたいと、意見の相違があります。ISISをなんとかしたいのは双方、同じ。しかし、ISISはもともとアメリカ戦争勢力が焚きつけたマッチポンプです。そのアメリカの後始末をロシアがする羽目になっているのだからプーチンが怒るのも当たり前でしょう。

しばらく前に配信された、田中宇さんの記事から。

ISISは、イラク駐留中の米軍によって涵養されたテロ組織だ。米軍は、ISISを空爆する作戦をやりつつも、ISISの拠点だとわかっている場所への空爆を控えたり、イラク軍と戦うISISに米軍機が武器や食料を投下してやったりして、戦うふりをしてISISを強化してきた。米軍は、露軍の駐留に猛反対しても不思議でない。 (わざとイスラム国に負ける米軍) (露呈するISISのインチキさ) (Lavrov suspicious about US motive in fighting Daesh)
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米国がこんな無能ないし茶番な策を延々と続けている以上、中東はいつまでも混乱し、何百万人もの難民が発生し、彼らの一部が欧州に押し寄せる事態が続く。このままだと、ISISがアサド政権を倒してシリア全土を乗っ取り、シリアとイラクの一部が、リビアのような無政府状態の恒久内戦に陥りかねない。米国に任せておけないと考えたプーチンのロシアが、シリア政府軍を支援してISISを倒すため、ラタキアの露軍基地を強化して駐留してきたことは、中東の安定に寄与する「良いこと」である。
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オバマはISISの掃討を望んだが、彼の命令で動くはずの米軍は勝手にこっそりISISを支援し続けていた。自国軍に頼れないオバマは、ロシアに頼るしかなかった。米国がイラン制裁を解くことが、オバマの要請に対するプーチンの条件だったのだろう。
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ロシア軍のシリア進駐に対しては、欧州諸国も支持し始めている。、、、好戦的で非現実的な米国でなく、中東の安定を模索する現実的なロシアと組んで、シリア危機の解決に取り組む方が良いという現実がある。
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露中やBRICSにEUが加わり、イスラエルまでがロシアにすり寄って、中東の問題を解決していこうとしている。米国は傍観している。そんな中で日本は、軍隊(自衛隊)をこれまでより自由に海外派兵できるようにした。安倍政権や官僚機構としては、対米従属を強化するため、米国が望む海外派兵の自由化を進めたつもりだろう。しかし、この日本の動きを、世界を多極型に転換していくプーチンのシリア提案と重ねて見ると、全く違う構図が見えてくる。

プーチンが日本に言いそうなことは「せっかく自由に海外派兵して戦闘できるようにしたのだから、日本の自衛隊もシリアに進駐してISISと戦ってくれよ。南スーダンも良いけど、戦闘でなく建設工事が中心だろ。勧善懲悪のテロリスト退治の方が、自衛隊の国際イメージアップになるぞ。昨年、貴国のジャーナリストが無惨に殺されて大騒ぎしてたよね。仇討ちしたいだろ?。ラタキアの滑走路と港を貸してやるよ。日本に派兵を頼みたいってオバマ君に言ったら、そりゃいいねって賛成してたよ。単独派兵が重荷なら、日本と中国と韓国で合同軍を組むとかどう?」といったところか。


ありうる話ではないでしょうか。ISISに対して、アメリカはロシア、イランとともに戦うと言っているのだから、日本が米軍の代わりになって参加するといえば、アメリカも喜ぶし、ロシア、イランも助かる。今や国連軍ですから世界平和のための貢献だという大義名分も立つ。人払いした最後の10分で、アベ氏が北方領土との交渉との取引に自衛隊のシリア派遣を持ちかけ、密約の成立を図ったのではないか、といのはあり得る話ではないかと妄想するのですが、どうでしょう。もちろんそうなって困るのは、そこでアメリカのマッチポンプの道具に使われて命の危険に晒される自衛隊員です。
コメント
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