学会から帰ってきました。
昔の知り合いに会うのは楽しいのですけど、学会の内容そのものは年々、寂しくなる一方です。というのは、この分野で最も関連する臨床的疾患で最も多く使われている薬のパテントが数年前に切れ、その間に開発された新薬も期待されたほどではなさそうだということがわかってきて、製薬会社のモチベーションが下がっていることがあります。加えて、今回、期待されていた新薬の臨床試験の結果、有害事象の発生のため、とある大手製薬会社は巨額の損失の上に製品化を諦めたという事件が起こり、ただでさえ冷めかけている分野に冷水を浴びせるかのような状態になっています。この事件を受けて、この分野はさらに縮小化が進むだろうと思われ、研究者も徐々に研究疾患対象をシフトして、これまであまり注目されていなかったRare diseaseへの関心が高まってきているようです。事実、今回は複数のRare diseaseのセッションがあり、通常プログラムの後に夜の11:00近くまで行われた追加プログラムは満室という盛況ぶりでした。Rare diseaseを主なターゲットとして土台を築いてきたバイオテク・製薬会社はCommon diseaseをターゲットとしてきた大手製薬会社よりも順調なような感じで、事実、慢性的に治療が必要なRare diseaseであれば、患者が世界で数百人もいれば、十分、ビジネスとして成り立つということです。大きく儲けることはできないが、特定のリピーターを確保できるので長期的に帳尻が合うということですね。
知り合いにあってする会話も、この先、この業界はどうなるのだろうという不安と愚痴が多くなり、ワクワクするような明るい展望について語り合うことが少なくなりました。ふと気がつくと、数十年続いたこの分野の国際学会が一つ消失していました。
収穫はありましたが、あまり嬉しい話ではないですね。私がやっている二つのプロジェクトで競合状態にあるグループがあって、一つのプロジェクトの競合グループとはまずまず良好な関係ですが、相手は随分と進んでいます。ただ、パテントを取るのが先なので、出版を来年まで遅らせているという話。向こうも一応、こちらの出版を気遣ってはくれてはいるのですが、私の方は当初の予定の出版計画でいくと、来年にはちょっと間に合いそうにありませんので、計画を変更しないといけなくなりそうです。また別の研究で競合している一方のグループもかなりオーバーラップする研究をやっていて、これは二年前に通らなかったグラントに関係しており、私はそのグラントを来年初めに再提出するつもりにしています。彼らの論文が出版された後でも、グラントの新規性が損なわれないように、予想される論文の内容から数段上を目指したような研究計画を提出する必要があり、それは、今つかんでいるリードがストーリーになるかどうかにかかっているのではと思っています。このグループとは特に友好的関係はないので、とにかく、真正面から当たることはできるだけ避けて、彼らがやりそうにない部分にフォーカスする方針で行きます。
そういえば、この学会には座長をするはずであったとある日本の大学の先生が欠席していました。忙しかったのかな、と思っていたら、学会から帰った日に、その大学での研究不正の調査が始まったというニュースを見ました。うーむ、出る杭は打たれるのか、打たれるようなことをしたから出ることができたのか、何れにしてもこう言うスキャンダルは分野にはマイナスです。
今回、前回、さらにその前と、この大学での不正事件は、内部、外部の告発でした。匿名の告発というあたりがちょっと引っかかります。これも自浄作用の一つであるとも思えないこともないですが、こうして「事件」にすると裁くものと裁かれるものという立場ができるわけで、その対立関係の結果として費やされるエネルギーは馬鹿になりません。対立が起こった場合にいづれの側にも得は発生しません。こじれた場合に間に入る弁護士が儲けるだけで、研究界全体としては損失しかありません。なんとかならんもんですかね。
さて、日本全般のニュースに関して、ちょっとだけ。
民進党の人事を見ましたが、この党は学習能力がゼロですね。政権を担っていた時に、国民を裏切り、トドメを刺した最大の犯罪者が幹事長ですからね。ま、もうこの党が政権を取ることは未来永劫ないですからどうでもいいですが。志位委員長も共闘を呼びかけた相手がコレではやってられんのではないでしょうか。
それから、政府は今面している財政破綻をどうするつもりでしょうかね。やはり戦争をやって非常事態のドサクサでチャラにする予定なのでしょうかね。
田中宇さんの記事から。
私もそういう道筋を取ると思います。世界大恐慌は遠からず起きて、アメリカとそのアメリカを支えてきた日本は相当な打撃を受けることになると思います。その時に戦争をやってリセットするという青写真ではないでしょうか。第二次世界大戦で経済を立て直したアメリカと同じことを考えているのでしょう。しかし、第二次大戦以後も世界で戦争をやり続けて経済を回してきたアメリカがそもそも行き詰まっており、アメリカ国民も戦争を望まず、世界から手を引いて縮小していくことを考えています。人口がどんどん減り、経済的競争力も低下してきているのに、するはずもない「経済成長」を目指してアホノミクスとやらをやっている変な国、これは確信犯です。老年期に入りかけた人にいくら成長ホルモンを射っても、末端肥大が起きて体を悪くするばかりで成長などしないのは誰でもわかると思うのですが。
昔の知り合いに会うのは楽しいのですけど、学会の内容そのものは年々、寂しくなる一方です。というのは、この分野で最も関連する臨床的疾患で最も多く使われている薬のパテントが数年前に切れ、その間に開発された新薬も期待されたほどではなさそうだということがわかってきて、製薬会社のモチベーションが下がっていることがあります。加えて、今回、期待されていた新薬の臨床試験の結果、有害事象の発生のため、とある大手製薬会社は巨額の損失の上に製品化を諦めたという事件が起こり、ただでさえ冷めかけている分野に冷水を浴びせるかのような状態になっています。この事件を受けて、この分野はさらに縮小化が進むだろうと思われ、研究者も徐々に研究疾患対象をシフトして、これまであまり注目されていなかったRare diseaseへの関心が高まってきているようです。事実、今回は複数のRare diseaseのセッションがあり、通常プログラムの後に夜の11:00近くまで行われた追加プログラムは満室という盛況ぶりでした。Rare diseaseを主なターゲットとして土台を築いてきたバイオテク・製薬会社はCommon diseaseをターゲットとしてきた大手製薬会社よりも順調なような感じで、事実、慢性的に治療が必要なRare diseaseであれば、患者が世界で数百人もいれば、十分、ビジネスとして成り立つということです。大きく儲けることはできないが、特定のリピーターを確保できるので長期的に帳尻が合うということですね。
知り合いにあってする会話も、この先、この業界はどうなるのだろうという不安と愚痴が多くなり、ワクワクするような明るい展望について語り合うことが少なくなりました。ふと気がつくと、数十年続いたこの分野の国際学会が一つ消失していました。
収穫はありましたが、あまり嬉しい話ではないですね。私がやっている二つのプロジェクトで競合状態にあるグループがあって、一つのプロジェクトの競合グループとはまずまず良好な関係ですが、相手は随分と進んでいます。ただ、パテントを取るのが先なので、出版を来年まで遅らせているという話。向こうも一応、こちらの出版を気遣ってはくれてはいるのですが、私の方は当初の予定の出版計画でいくと、来年にはちょっと間に合いそうにありませんので、計画を変更しないといけなくなりそうです。また別の研究で競合している一方のグループもかなりオーバーラップする研究をやっていて、これは二年前に通らなかったグラントに関係しており、私はそのグラントを来年初めに再提出するつもりにしています。彼らの論文が出版された後でも、グラントの新規性が損なわれないように、予想される論文の内容から数段上を目指したような研究計画を提出する必要があり、それは、今つかんでいるリードがストーリーになるかどうかにかかっているのではと思っています。このグループとは特に友好的関係はないので、とにかく、真正面から当たることはできるだけ避けて、彼らがやりそうにない部分にフォーカスする方針で行きます。
そういえば、この学会には座長をするはずであったとある日本の大学の先生が欠席していました。忙しかったのかな、と思っていたら、学会から帰った日に、その大学での研究不正の調査が始まったというニュースを見ました。うーむ、出る杭は打たれるのか、打たれるようなことをしたから出ることができたのか、何れにしてもこう言うスキャンダルは分野にはマイナスです。
今回、前回、さらにその前と、この大学での不正事件は、内部、外部の告発でした。匿名の告発というあたりがちょっと引っかかります。これも自浄作用の一つであるとも思えないこともないですが、こうして「事件」にすると裁くものと裁かれるものという立場ができるわけで、その対立関係の結果として費やされるエネルギーは馬鹿になりません。対立が起こった場合にいづれの側にも得は発生しません。こじれた場合に間に入る弁護士が儲けるだけで、研究界全体としては損失しかありません。なんとかならんもんですかね。
さて、日本全般のニュースに関して、ちょっとだけ。
民進党の人事を見ましたが、この党は学習能力がゼロですね。政権を担っていた時に、国民を裏切り、トドメを刺した最大の犯罪者が幹事長ですからね。ま、もうこの党が政権を取ることは未来永劫ないですからどうでもいいですが。志位委員長も共闘を呼びかけた相手がコレではやってられんのではないでしょうか。
それから、政府は今面している財政破綻をどうするつもりでしょうかね。やはり戦争をやって非常事態のドサクサでチャラにする予定なのでしょうかね。
田中宇さんの記事から。
、、、、中国は、世界経済の戦略決定の面で、米国と並ぶ存在になっている。きたるべき米国発の金融危機は、リーマン危機以上の規模になり、世界経済に大打撃を与える。中国など新興諸国も打撃を受けるが、中国やIMFが用意している非ドル的な多極型の新体制がうまく導入されれば、長期的に新興諸国の打撃はかなり緩和される。最後まで米経済覇権(債券金融システム)の延命に固執する米国や日本の方が、きたるべき危機から受ける打撃がはるかに大きくなる。、、、、日本の経済破綻を避けるためには、QEやマイナス金利をできるだけ早くやめて金融的な米国との無理心中を避け、中国やIMFが用意する多極型体制への協調を強めることが必要だ。だが残念ながら、すでに日本がQEをやめるには時期的に遅すぎる。しかも日本では、対米従属と、その派生策としての中国への敵視や嫌悪があまりに強く、鳩山小沢の敗北以後、多極化への対応が検討されることはない。座して死を待つ感じだ。
私もそういう道筋を取ると思います。世界大恐慌は遠からず起きて、アメリカとそのアメリカを支えてきた日本は相当な打撃を受けることになると思います。その時に戦争をやってリセットするという青写真ではないでしょうか。第二次世界大戦で経済を立て直したアメリカと同じことを考えているのでしょう。しかし、第二次大戦以後も世界で戦争をやり続けて経済を回してきたアメリカがそもそも行き詰まっており、アメリカ国民も戦争を望まず、世界から手を引いて縮小していくことを考えています。人口がどんどん減り、経済的競争力も低下してきているのに、するはずもない「経済成長」を目指してアホノミクスとやらをやっている変な国、これは確信犯です。老年期に入りかけた人にいくら成長ホルモンを射っても、末端肥大が起きて体を悪くするばかりで成長などしないのは誰でもわかると思うのですが。