百醜千拙草

何とかやっています

第二外国語でも

2020-09-08 | Weblog
最近、自分の母や義理の両親を見ていて、老後の過ごし方を考えることが増えました。今の私の人間関係は、子供がらみのものがなくなったので、すっかり仕事でのつきあいに限られています。町内会もありませんし、同年代の親類も、それぞれに家庭があって遠くにいるので交流もありません。この調子だと引退したあとは、引きこもり老人に一直線です。引きこもるのはいいのですけど、その時にどうやって時間を過ごすことになるだろうか、と思うと、何かできることを今から始めておくべきだろうなと思いました。いま思い描いている生活は、家庭菜園をする、犬を飼う、禅寺に参禅する、ピアノの練習する、などですけど、何か長く興味をもって続けられるものも新しく始めたいと思い、語学はどうだろうと思いました。若いころ鈴木大拙の本が好きだったこともあり、中国語はどうかと思って中国人に聞いたら、1000年前の禅文学のころの中国語は今のものとは随分違って、現代中国語を学んでも役に立たないよ、という話をされて意欲を失いました。昔にインドから中国にやってきて中国で確立された仏教は日本に輸入されて生き延びてはいるものの、その中国ではすでに忘れ去られた文化のようです。

かつては語学は知識を得るためのツールとして学ばれましたが、いまや言葉を学ぶモチベーションは、文化、芸術、歴史などの興味からだろうと思います。明治以降、西洋文明の輸入によって、日本人の外国への興味は西洋諸国に向いており、とくに敗戦後はアメリカ植民地政策の一環もあって、日本は急激にアメリカナイズされました。私も戦後の高度成長期の後期に子供時代を過ごし、西洋やアメリカに対して愛憎入り混じる感情を持っていました。映画も音楽も踊りも基本的に西洋のものを日本人むけに仕立て直したものに囲まれて育ちました。そういう事情で、アジアの国でありながらアジア諸国の文化にはあまり馴染みがなく育ったのは皮肉なものです。

最近は、そういうわけで、いろいろな国の音楽などをYoutubeなどで楽しんでいますが、アジアの音楽では面白いとおもったのはモンゴルの音楽で、躍動感があっていいです。喉で歌う独特の歌唱法も興味深い。しかし書き物のBGMには向かないと思います。その辺から西に向かっていくと、馴染み深いロシア民謡を通って、バルカン音楽に至りました。ロシア民謡と違って、バルカンの音楽はアラビア音階ぽいを使っているものが多くリズムも特有で、すぐ好きになりました。

それで言語の話にもどりますけど、せっかく、ロシア民謡やバルカン音楽が好きになったので、スラブ系の言語を学ぶのはどうかとも思いました。しかし、どうもスラブ言語はアラビア語ほどではないにせよ、かなり難しいという話。調べてみると、比較的簡単な言語はロマンス系で、スペイン語、フランス語ということでした。ロマンス系が比較的簡単といえるのは、英語の語彙の3-4割はロマンス語系からきているからのようです。一方、ドイツ語は英語と同系のゲルマン言語なので簡単な方なのかと思っていましたが、実際は英語とはかなり語彙の点でも離れており難しいとのこと。確かに、大学時代にちょっとだけやったドイツ語は定冠詞の変化を覚えさせられた時点でアレルギーになった覚えがあります。

意外なことにルーマニア語はスラブ語の国に囲まれているのに、ロマンス系言語なので、スラブ語系に比べると多少は易しいのだだそうです。どうもかつてのローマ帝国の影響らしく、そういえば、数人知っているルーマニアの人名は周りの国々のスノバビッチとかナンチャラスキーとかいう感じではなくて、一目でルーマニアとわかります。

この時点で、スラブ系言語、ドイツ語、中国語は除外、スペイン語かフランス語かがいいのではないかという結論になりました。話者の数からはスペイン語、フランス語を学んでも実用的意味はないなあと思いましたが、そもそも老後の趣味に実用性は問題ではありません。若い頃は、ラテン系音楽も好きで、サルサとかのスペイン語系とズークなどフレンチカリビアンも同様に好きでした。リンダ ロンシュタットがスペイン語で歌った"lo siento me vida"や、Millie P の"Si, usted me quiere"などの名曲、一連のジプシーキングスのヒット曲も好きで、スペイン語を学んで歌ってみるのも楽しそうです。(ちなみにジプシーキングスフランスのグループで、彼らのスペイン語はちょっとおかしいそうです)

日本では70年台ぐらいからフレンチポップスのブームがあり、シルビー バルタン、フランス ギャルやフランソワーズ アルディーの曲がヒットしました。そのせいか、私はそのころのフレンチポップスをきくとノスタルジックになります。昨年パリを訪れた時も、なぜか懐かしい感じがして、これはきっとフランス文化が大きく影響を及ぼしていたころの日本で私が育ったからなのだろうと理解しました。パリの空港で飛行機を待っていた時、日本人らしい男性の老人がフランス語で空港職員と会話しているのを見てシビれました。フランスでも英語でだいたい用はたりますけど、旅先で漏れ聞く現地の人々の会話がわかったら面白いだろうなあと思いました。フレンチポップスを聞くにしても、フランソワーズ アルディの"message personnel"の語りが理解できたら楽しみも増すのではないかと思い、ちょっとフランス語をやってみるかと思ったりしているところです。それでは、Salut, a bientot.

Francoise Hardy "Message personnel"

ついでに
Linda Ronstadt  "Lo Siento Mi Vida"

サルサ ポップス、Millie Puente "Si, usted me quiere"



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