英語での旅行すること(travel)とフランス語での働くこと(travail)は語源が同じだそうで、どちらも「辛いもの」を指す言葉からきているそうです。
まだまだ先と思っていた旅行も気がつくと数日後に迫り、ようやくホテルや移動機関の予約がだいたい終わりました。旅行の段取りは旅行することと同じぐらいのエネルギーが必要だということを実感しました。旅行はともかく旅行の段取りは辛いです。
ヨーロッパは明治以降の日本の近代化のお手本で、歴史の重みもスケールも違いますから、どこに行ってもそれなりに感動すると思います。とはいえ、別に個人的な思い入れも建造物や西洋の街並みにそう興味があるわけでもないので、今回は、有名どころをつまみ食いのように回ることにしました。いくつかクリアする目標、仕事関係、知り合いに会うこと、ダビンチ作品を見ること、を決めて、日程を組むと結構しばられるもので、結局、移動手段の都合などもあり、スウェーデンのヨーテボリを起点と終点にして、六カ国を駆け足で回ることになりました。客観的にみれば、真冬のシーズンオフのヨーロッパをこのような日程で観光するのは馬鹿げたことだと思います。
今回のテーマはダビンチということで、スウェーデンでの仕事と用事を終えたらローマのダビンチ空港に飛んで、バチカンのダビンチ博物館にいき、それからミラノで最後の晩餐を見て、パリのルーブルのモナリザで締める予定です。「最後の晩餐」は入場制限と時間制限(15分)で予約制、モナリザもルーブルでの第一人気なので、朝一番で展示室までダッシュしないと人混みでまともに見れないという話で、慌てて9時からのルーブルの入館チケットを予約しました。ダビンチの作品を見るのはいろいろ大変だということがわかりました。
途中、ミラノからベルギーへの中継地としてケルンに二泊することになりました。ミラノでも大聖堂を見物するつもりですが、ケルンの大聖堂は楽しみです。それとケルン(Cologne) は、ライン川水域の水でつくった香水、オーデコロン(l'eau de Cologne、ケルンの水)の発祥地であり、4711の本社があるところです。私がマセガキだったころ、ウチには家業の関係で4711の男性用整髪剤があって、その柑橘系の香りが好きでした。4711の本社に立ち寄って香水の小瓶を一つ買って昔を懐かしむ予定です。またどうでもいい話ですけど、ケルンはOlga Schepsという美人ピアニストの拠点地です。私としては、美人ピアニストにはショパンよりバッハを弾いてもらいたい。
その後はベルギーへ電車移動、ルーベンで昔の知り合いの研究室に寄り、それからパリに向かうつもりです。乗り換えのブリュッセルで世界一美しいといわれる広場で本場のフライドポテトを食べ、パリでルーブルのモナリザを見て、コペンハーゲン経由でヨーテボリまで戻ることにしました。コペンハーゲンは、単に移動の都合で立ち寄るだけですが、学生のころ、Duke Jourdanというジャズ ピアニストの「Flight to Denmark」というレコードを勉強用のBGMに聴いていたのを思い出しました。このレコードは約50年前の冬のコペンハーゲンで録音されたもので、下のジャケットの写真のようにシンプルでリラックスした演奏がいいです。Jordanはその数年後、コペンハーゲンに移住し、亡くなるまでそこで過ごしています。黒人という理由で差別されるアメリカよりも一人の音楽家として扱ってくれる北欧の方が居心地がよかったのでしょう。
静かな冬の喜びを感じさせる明るい曲調のタイトル曲、Flight to Denmark
因みにJordanは1947年のチャーリーパーカーとマイルスの歴史的名盤、Bird & Milesでピアノを弾いていた人です。(後ろ向けに写っている人)
というわけで2週間ちょっとほど留守にします。