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長谷寺のだだおし(産経新聞「なら再発見」第59回)

2013年12月23日 | なら再発見(産経新聞)
産経新聞奈良版・三重版ほかに好評連載中の「なら再発見」、今回(12/21付)のテーマは「長谷寺のだだおし 大松明と鬼の火祭り」、筆者はNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」、ガイド名人の雑賀耕三郎さんである。まずは長谷寺について。Wikipedia「長谷寺」によると、

長谷寺(はせでら)は、奈良県桜井市初瀬にある真言宗豊山派総本山の寺。山号を豊山神楽院と称する。本尊は十一面観音、開基(創立者)は僧の道明とされる。西国三十三所観音霊場の第八番札所であり、日本でも有数の観音霊場として知られる。

大和と伊勢を結ぶ初瀬街道を見下ろす初瀬山の中腹に本堂が建つ。初瀬山は牡丹の名所であり、4月下旬~5月上旬は150種類以上、7,000株と言われる牡丹が満開になり、当寺は古くから「花の御寺」と称されている。また『枕草子』『源氏物語』『更級日記』など多くの古典文学にも登場する。


この長谷寺では、毎年2月14日のバレンタインデーに、「だだおし法要」という火祭りが営まれる。千年以上も続く行事である。では、雑賀さんの書かれた全文を紹介する。



 2月14日に長谷寺(桜井市)では「だだおし法要」を営む。赤、緑、青の3匹の鬼が巨大な松明(たいまつ)を手に堂内外を暴れ回り、追い出されるという儀式で、この地に春をよぶ一大火祭りだ。
 人々の罪・過(あやま)ちを仏前で懺悔(さんげ)し、身も心も清らかになるしてい、長谷寺は「修二会(しゅにえ)」の法要が営まれる。その締めくくり(修二会結願[けちがん]大法要)が、14日のだだおし法要だ。
 能化職(のうけしょく 住職)に従い多くの僧侶が登廊(のぼりろう)を上がり、参列者に見守られながら本堂に入る。本堂内陣の十一面観世音菩薩の前で、人々の罪科(ざいか)を懺悔する法要が営まれる。



写真はすべて雑賀さんのブログから拝借(「だだおし」「だだおしと鬼の松明」

 速いテンポでリズミカルにお経が読まれ、ほら貝が吹かれ、激しく太鼓がたたかれる。乱声(らんじょう)乱打といわれるこの厳かで勇壮な儀式で、参列者は一気に「だだおし」に引き込まれていく。
 続いて宝印(ほういん)授与が行われる。「だんだいん」と呼ばれる宝印を、諸仏・諸菩薩や参拝者の額、参拝者に授与された牛玉札(ごおうふだ)に押し当てる儀式で、悪魔退散・無病息災を祈る。
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 「だんだいん」は長谷寺を開山した奈良時代の徳道(とくどう)上人から受け継がれてきたといわれる。
 徳道上人は病により仮死状態になって閻魔(えんま)王に会った。閻魔王は「近ごろは地獄に来るものが夕立のように多い」と嘆き、「帰って浄土と地獄があることをよく教えるように」と頼んだ。そこで徳道上人は「頼まれたという印(しるし)をいただきたい」と告げると、閻魔王は「だんだいん」を授けたという伝承である。
 暴れはじめた赤鬼、緑鬼、青鬼は、「だんだいん」を押した牛玉札によって本堂から追い出される。鬼は松明(たいまつ)を手に本堂の周りを回る。
 松明は激しく燃え上がる。赤鬼が持つ松明は一番大きくて長さがメートルあり、重さも120キロだ。鬼たちは堂の周りを回り、すれ違いざまに激しく松明をぶつけあう。
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 松明は頑丈で、しかもよく燃えなければならない。松明を作っている豊森(とよもり)新次さんにお話を聞くと、「ジンという松の樹の赤身のところを小割りして松明を作ります。ジンは松ヤニをしっかり含んでいるので、激しく燃えます」。



 花びらが開くような形の松明は迫力があり、しっかり燃え上がるようだ。出来上がりの形を考えながら、一本一本の割り木を鉈(なた)で削り形を整える。大松明だと割り木は40本必要で、根気のいる仕事だ。
 豊森さんは「よく燃えて、しかも頑丈なものをつくることが大切ですが、何といっても200年の樹齢の貴重な松を使っていることに感謝しながら、松明づくりをしています」と力を込める。
 豊森さんは「だだおし」の日、松明を従えて堂を周回する鬼のサポート役もする。「主役は鬼と松明。ぼくらは黒子ですから目立たぬように」と控えめだが、松明の燃え具合を見ながら鬼の動きを鋭くコントロールして法要を支える。
 だだおし法要は、年明けの2月14日午後3時から行われる。内陣から追い出された3匹の鬼が大松明を持って初瀬の山で暴れるのは、夕刻になってからだ。(NPO法人奈良まほろばソムリエの会 雑賀耕三郎)

長谷寺へは、近鉄長谷寺駅下車・徒歩約15分。近くには文久元年創業の老舗旅館長谷寺湯元「井谷屋」がある。楽天トラベルの口コミでも《長谷寺の朝の勤行を見学するために宿泊しました。お寺までも徒歩5分くらいで、立地的には非常に良かったです。空いていたからか 部屋も風呂トイレ付きへとアップグレードしていただき、駅までも親切に送迎していただきました。夕食にはあまり期待していなかったのですが、刺し身も新鮮で、食事は全て美味しかったです。温泉も気持ちが良かったです》と評判は上々だ。

皆さん、ぜひ長谷寺をお訪ね下さい。雑賀さん、ご紹介有難うございました!
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