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奈良検定1級(第8回)の問題を考える

2014年02月04日 | 奈良検定
 改訂新版 奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック
 網干善教 監修
 山と溪谷社

本年(2014年)1月12日(日)、奈良検定(奈良まほろばソムリエ検定)試験が実施された。今回初めて、東京会場でも1級(奈良通1級)試験が行われた。試験の直後から、当ブログや私のFacebookには、たくさんの受験者のコメントが書き込まれた。例年にない特徴として「1級は難しすぎだ」という声がとても多かったことだ。1級受験者の声だけ拾ってみると、

(当ブログにいただいたコメント)
■1級うけましたが、やはり残念ながら6点足りませんでした。マグレに期待したのですが…。また来年頑張ります。(橋本さん)
■60点弱というところで、不合格見込みです…。まだまだ、細かな知識が足りないことを痛感させられて、かなり凹んでいました。(eichさん)
■本当に1級難しかったです。昨年の2級は合格確信持てましたが(94点)、今年の1級は大雑把な把握では70点ぐらい。「内牧川右岸の寺院」「細川谷古墳群」「円福寺」「国常立神社」「おお、大砲」「美貌の女帝」 んんん?? まだまだ聞きなれない単語が色々ありました。(平安えみさん)
■1級受けたのですが6割程度しか解らず、答え合わせする気力もありません。正月のお屠蘇ひかえて勉強したのですが…。(asunaroさん)
■1級、自己採点で75点、何とか、圏内でした。1級はじめての受検でしたので、皆さんおっしゃるように難しかったのかどうかは分かりませんが、昨年の2級(94点でした)に比べると、確かにしんどかったのは確かです。(katsuhiroさん)


(Facebookにいただいたコメント)
●初めて1級受験しましたが、60点くらいで…。妻は68点。個人的には古墳のところが勉強不足でした。かなり細かいところ、例えば香芝市。住んでいても知らないし、行ったこともないし…。過去問、講習だけでは追いつかない問題でした。足を運んで、実際もっと回らねば合格は遠いですね。(Sさん)
●うちの夫も受験しました。自己採点もままならず、そのモヤモヤ感のために、昨夜はよく眠れなかったらしいです(笑)(Oさんの奥さん)
●1級を受験しました。2回目の受験なんですが、自己採点で…69点です。初めて目にする内容がとても多く、中でも設問79が1番難しかったです。(ネットで調べても全然答えが見つからなかった…。エだと思います。)(Kさん)


以前にも紹介したが、最後のKさんがお書きの問題は
(79)奈良県内で高取町や橿原市と並び、古くから製薬業が盛んな場所はどこか。
ア.天理市 イ.五條市 ウ.生駒市 エ.御所市


で、答えはエ(御所市)だ。これに対して御所市民のYさんは
●御所に暮らしている者にとって製薬は当たり前なのですが(県の薬事研究センターがありますし、かつてはJR御所駅前は漢方薬の匂いが漂い、大同薬品=DAIDOも佐藤薬品工業も、もともとは御所でした)、ネットで調べても出てこないほどに知名度が低いんですね。客観視して考えないとPRを間違えますね。

この手の問題は地元民にはやさしいが、県外の方にはとても難しい。今回の1級問題は私も何も見ずに解いてみたが、完全に自信を持って解答できたのは、7割に満たなかった。合格ラインは7割だが四択なので、残りの約3割の正答率はざっと25%(8問程度)となり、トータルでは合格するのだが、どうも「モヤモヤ感」が残る。
※第8回1級の問題と解答は、こちら(前半52問)とこちら(後半48問)に掲載されている。

先ほどの(79)はテキストに掲載されていない。平安えみさんがお書きの「内牧川右岸の寺院」は、こんな問題だ。これも、テキストには載っていない。
(43)内牧川の右岸にあり、国の重要文化財である銅造誕生釈迦仏立像を奈良国立博物館に寄託している宇陀市の寺院はどれか。
ア.初生寺 イ.佛隆寺 ウ.悟真寺 エ.大野寺

これで正解の「ウ.悟真寺(ごしんじ)」を選べる人は、少ないだろう。平安えみさんがお書きの「円福寺」(生駒市)も「国常立神社」(天香久山山頂)も、テキストには載っていない。私はかつての1級問題(第2回)で「高円山大文字送り火の2画目の長さは約何メートルあるか?」「新薬師寺おたいまつで堂を巡る大松明の数は?」などのトリビアが出て憤慨したことがある。

それに比べると、今回(第8回)の問題は、決して珍問・奇問のたぐいではないし、トリビアでもない。むしろソムリエ用の問題なら「良問」といえる問題が多い。盲点を突く問題が混じっているが、難問と思われてもテキストのどこか(年表とか注書きなど)にはちゃんと載っているし、「おお、大砲」や「美貌の女帝」は、ソムリエには「常識」だ。しかしこれらは1級受験者には、難しいだろう。

過去問が出題されるようになり、過去3回の1級合格率は、77.5%(第5回)56.6%(6回)49.5%(7回)と、推移してきた。だから受験者はこの3年平均程度の合格率(61.2%)を期待していた。しかし今回はまた第4回(33.9%)並みに落ち込み、それで受験者に敬遠されるのではないか、と私は懸念している。奈良検定には救済措置(合格率が一定率より低ければ合格ラインを下げる)がないからだ。事実、当ブログにも

■奈良のことをもっと勉強したいと思っても、今回のような重箱の隅をつつくような問題を想定しての勉強はやりたくありません。楽しくないです。だって自分はただの観光客ですから。長年通い続けた奈良への愛情を形にしたい、そんな思いもあるのでなんとか上級レベルまで到達したいのですが…。(東京在住者さん)

というコメントが入った。奈良検定は《奈良に精通した「日本文化の伝道者」の育成と、ホスピタリティー(もてなし)の向上を目指しております》とテキストに明記してある。次回以降は、受験者のチャレンジ意欲をかきたてるような、適切な難易度を期待している。

※追記(2/7) NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」のカリスマガイドとして知られる雑賀耕三郎さんからFBに、こんなコメントをいただきました。《僕は3回の1級で落ちて、4回の1級に合格しました。あの頃の勉強が原点です。その後も勉強しましたけど(笑)》。
私も第2回(1級としては初回)の1級試験に落ち、第3回で合格しました。あの時、悔しさをバネに勉強したので、翌年(第4回)にはソムリエに合格できました。今回不合格になった方もシャットダウンするのではなく、記憶の新しい今のうちに勉強に再起動をかけてください!
コメント (11)
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