前回、坂崎仁紀著『ちょっとそばでも』(廣済堂出版)に惹かれて東京で立ち食いそば屋を回って当ブログで紹介したのは、昨年(2013年)の10月だった。「こんなに安くて美味しいそば屋があったのか」「上京の楽しみが増えました」というお声をたくさんいただいた。その後2軒で4回、そばをいただいたので今回、まとめて紹介することにしたい。
Ⅰ.「よもだそば」中央区日本橋2-1-2(東京駅八重洲北口から徒歩3分)
外堀通りと永代通りの交差点から、少し南東の方向にある。《「よもだ」とは愛媛の方言で「憎めない、やんちゃな」といった意味だそうだ。それを店名にした「よもだそば」が東京駅八重洲口から日本橋に抜けるランチ激戦区に誕生したのは、平成19(2007)年の冬だった。遠くからでもすぐわかる、白い看板が目印である。店内は広く、しかも地下に座席もあり、ゆっくりと食べることができる》(『ちょっとそばでも』)。
玉ネギを丸ごと1個使用した特大かき揚げ。高さ5cm!
ここのウリは特大のかき揚げである。同店のHPによると《直径10cm、高さ5cm。日本一を目指して作った中身ギッシリのかき揚げです。当店のかき揚げは「国産玉ねぎ」丸ごと1個分を使用(赤字覚悟!)。1日に1箱20kgの玉ねぎを仕込んでも足りないくらい大人気のメニューです。大きさだけでなく美味しさにもしっかりこだわっています》。
初回はこの「特大かき揚げそば」(360円)を注文した。からりと揚がったかき揚げに、生きのいいタマネギがたっぷりと入っている。本当に「赤字覚悟」のようだ。すごいボリュームなのに油が良いのか、スッと胃の腑に落ちて、また食べたくなる。麺(自家製麺)の量もたっぷりだ。若いサラリーマンでも、ランチにはこれ一杯で満足することだろう。ツユはあっさりめなので、関西人の私にも抵抗がない。これはぜひ、酒仙堂さんにお薦めしたい。
2回目は、もりそば(240円)にとろろ(山芋=120円)をトッピング。この店に限らず、たいていの東京の立ち食いそば屋さんでは、「冷たいそば」とオーダーすると、丼に入った冷たいそばに具が載り、冷たいツユをかけて(関西でいう「ぶっかけそば」が)出てくるので、写真のようなそばを食べたいときは「もりそば+トッピング」という注文をしなければならない。自家製麺は、ちょうどいいボリュームだ。鰹ダシの利いたツユも、とても美味しい。山芋の粘りもすごい。
Ⅱ.「そばよし」中央区日本橋本町1-1-7(東京メトロ三越前駅から徒歩4分)
《「そばよし」は宮内庁御用達の鰹節卸問屋の中弥商店が経営している店なのだ。ご主人は13代目というから畏れ多い存在である。そばは細くコシのある生麺で非常においしい。うどんはきしめんのような平打ちのタイプで、トゥルトゥルの食感でのど越しがよい。いずれも自家製麺しているという本格派だ。麺も注文を受けてから茹ではじめる。つゆはさすが卸問屋だけあって、鰹節系の出汁(だし)が驚くほど利いている》(『ちょっとそばでも』)。
初回は温かいかけそば(270円)にした。トッピングは春菊のかき揚げ(120円)。というのも、店内にデカデカと「トッピング 春菊天 春菊のほろ苦さをかきあげの型にして閉じこめました」とあり、とても美味しそうだったからだ。このかき揚げも、すごいボリュームだ。自家製麺は適量といったところだ。さすがツユには鰹ダシが利いている。さほど醤油辛さはないが「よもだそば」よりは辛い。カウンターの上に、節粉(パウダー状の粉鰹)が置いてあって、ご飯にかけて醤油を少し垂らすらしいが、ツユに少し振ってみると俄然、旨みが増した(邪道かもしれないが)。
それにしても東京人は、よほどかき揚げがお好きのようだ。どこへ行っても大量のかき揚げがデンと置いてあって、しかも安くて美味しくてボリュームたっぷりだ。関西なら油揚げ(きつね)か、エビ天といったところだろうか。最近、関西の立ち食いうどん屋など(ウチの社食も)では、工場生産の「東洋水産のえび天ぷら」のようなものを使っていて、これはショボくていけない。東京のレベルの高いかき揚げとは、雲泥の差である。関西のそば屋さん・うどん屋さんは、ぜひ東京の美味しいかき揚げのワザを身につけていただきたい。
さて「そばよし」の2回目は、おろしもりそば(辛味大根そば=360円)にした。これも店内に「秋田県大館産のしぼり大根を 注文を受けてからおろします」とあったからだ。しぼり大根は、超辛口の辛味大根で、大根おろしの搾り汁を薬味に使うから「しぼり大根」なのだそうだ。最近、私は辛味大根そばにハマっているので、その辛さを知りたくてこれをオーダーした。ツユにたっぷりと入れて見たところ、おおっ、これは辛い、しかし旨い! 麺はやや少なめなので大根おろしを残してしまったが、今度は麺の大盛りをオーダーしてチャレンジしたい。
今回の2軒・4食とも、『ちょっとそばでも』に登場するだけあって、レベルの高いお店だった。オフィス街という場所柄か、ランチタイムがサラリーマンでごった返している様子には驚く。関西で立ち食いそば・うどんというと、駅ナカの「ちょい食べ」というイメージで、あまりサラリーマンの(正式な)昼食というイメージはない。しかし忙しい東京人の食スタイルを反映してか、こんなにレベルの高い(しかも安い)店が生まれるのだろう。
さて、次はどこへ行こう。上京の機会が楽しみだ。
Ⅰ.「よもだそば」中央区日本橋2-1-2(東京駅八重洲北口から徒歩3分)
外堀通りと永代通りの交差点から、少し南東の方向にある。《「よもだ」とは愛媛の方言で「憎めない、やんちゃな」といった意味だそうだ。それを店名にした「よもだそば」が東京駅八重洲口から日本橋に抜けるランチ激戦区に誕生したのは、平成19(2007)年の冬だった。遠くからでもすぐわかる、白い看板が目印である。店内は広く、しかも地下に座席もあり、ゆっくりと食べることができる》(『ちょっとそばでも』)。
玉ネギを丸ごと1個使用した特大かき揚げ。高さ5cm!
ここのウリは特大のかき揚げである。同店のHPによると《直径10cm、高さ5cm。日本一を目指して作った中身ギッシリのかき揚げです。当店のかき揚げは「国産玉ねぎ」丸ごと1個分を使用(赤字覚悟!)。1日に1箱20kgの玉ねぎを仕込んでも足りないくらい大人気のメニューです。大きさだけでなく美味しさにもしっかりこだわっています》。
初回はこの「特大かき揚げそば」(360円)を注文した。からりと揚がったかき揚げに、生きのいいタマネギがたっぷりと入っている。本当に「赤字覚悟」のようだ。すごいボリュームなのに油が良いのか、スッと胃の腑に落ちて、また食べたくなる。麺(自家製麺)の量もたっぷりだ。若いサラリーマンでも、ランチにはこれ一杯で満足することだろう。ツユはあっさりめなので、関西人の私にも抵抗がない。これはぜひ、酒仙堂さんにお薦めしたい。
2回目は、もりそば(240円)にとろろ(山芋=120円)をトッピング。この店に限らず、たいていの東京の立ち食いそば屋さんでは、「冷たいそば」とオーダーすると、丼に入った冷たいそばに具が載り、冷たいツユをかけて(関西でいう「ぶっかけそば」が)出てくるので、写真のようなそばを食べたいときは「もりそば+トッピング」という注文をしなければならない。自家製麺は、ちょうどいいボリュームだ。鰹ダシの利いたツユも、とても美味しい。山芋の粘りもすごい。
Ⅱ.「そばよし」中央区日本橋本町1-1-7(東京メトロ三越前駅から徒歩4分)
《「そばよし」は宮内庁御用達の鰹節卸問屋の中弥商店が経営している店なのだ。ご主人は13代目というから畏れ多い存在である。そばは細くコシのある生麺で非常においしい。うどんはきしめんのような平打ちのタイプで、トゥルトゥルの食感でのど越しがよい。いずれも自家製麺しているという本格派だ。麺も注文を受けてから茹ではじめる。つゆはさすが卸問屋だけあって、鰹節系の出汁(だし)が驚くほど利いている》(『ちょっとそばでも』)。
初回は温かいかけそば(270円)にした。トッピングは春菊のかき揚げ(120円)。というのも、店内にデカデカと「トッピング 春菊天 春菊のほろ苦さをかきあげの型にして閉じこめました」とあり、とても美味しそうだったからだ。このかき揚げも、すごいボリュームだ。自家製麺は適量といったところだ。さすがツユには鰹ダシが利いている。さほど醤油辛さはないが「よもだそば」よりは辛い。カウンターの上に、節粉(パウダー状の粉鰹)が置いてあって、ご飯にかけて醤油を少し垂らすらしいが、ツユに少し振ってみると俄然、旨みが増した(邪道かもしれないが)。
それにしても東京人は、よほどかき揚げがお好きのようだ。どこへ行っても大量のかき揚げがデンと置いてあって、しかも安くて美味しくてボリュームたっぷりだ。関西なら油揚げ(きつね)か、エビ天といったところだろうか。最近、関西の立ち食いうどん屋など(ウチの社食も)では、工場生産の「東洋水産のえび天ぷら」のようなものを使っていて、これはショボくていけない。東京のレベルの高いかき揚げとは、雲泥の差である。関西のそば屋さん・うどん屋さんは、ぜひ東京の美味しいかき揚げのワザを身につけていただきたい。
さて「そばよし」の2回目は、おろしもりそば(辛味大根そば=360円)にした。これも店内に「秋田県大館産のしぼり大根を 注文を受けてからおろします」とあったからだ。しぼり大根は、超辛口の辛味大根で、大根おろしの搾り汁を薬味に使うから「しぼり大根」なのだそうだ。最近、私は辛味大根そばにハマっているので、その辛さを知りたくてこれをオーダーした。ツユにたっぷりと入れて見たところ、おおっ、これは辛い、しかし旨い! 麺はやや少なめなので大根おろしを残してしまったが、今度は麺の大盛りをオーダーしてチャレンジしたい。
今回の2軒・4食とも、『ちょっとそばでも』に登場するだけあって、レベルの高いお店だった。オフィス街という場所柄か、ランチタイムがサラリーマンでごった返している様子には驚く。関西で立ち食いそば・うどんというと、駅ナカの「ちょい食べ」というイメージで、あまりサラリーマンの(正式な)昼食というイメージはない。しかし忙しい東京人の食スタイルを反映してか、こんなにレベルの高い(しかも安い)店が生まれるのだろう。
さて、次はどこへ行こう。上京の機会が楽しみだ。