一昨日(12/17)、奈良日日新聞に毎月連載されている「地域に生きる」の第41回(11/28付)に登場された大浦悦子さんを紹介させていただいた。紹介が遅れたが8月には、吉野山の季節料理「静亭(しずかてい)」の若女将・林美佳さんが登場されていた。林さんとは以前からFacebookの友達で、お店で美味しい柿の葉寿司をいただいたことや、吉野山の桜若葉の写真を送っていただいたこともある。遅ればせながら、以下に、林さんの回を紹介する。
※写真は若女将さんのブログと、お店のホームページから拝借
第二のふるさと目指し
季節料理 静亭 女将 林 美佳さん
「若女将(おかみ)」の愛称で親しまれている女性がいる。彼女は吉野山の勝手神社前で、季節料理や山菜料理を出す「静亭」の女将、林美佳さん(34)。「おかえりなさい」とお客さんを出迎え、「行ってらっしゃい」と見送る。その心は、母親で先代の女将から受け継いだ、静亭ならではの「おもてなし」。飾らない彼女の人柄にひかれ、地元はもとより各地からのリピーターが後を絶たない。
「20歳で母が亡くなって、心の準備もできないまま、お店に立ちましたが、女将というにも何の経験もありませんでした。あれから14年。ぼちぼち若女将は卒業なのかもしれませんが」と笑う。静亭は、戦後に祖母が始め、美佳さんの母親とともに切り盛りしてきた店。幼い頃から祖母や両親が働く姿を見て育ってきた。「一人っ子だったので、ことあるごとに跡を継ぐようには言われましが、一度ぐらいは外に出たいと社会福祉士を目指し、学校に通っていました」
束の間の夢を思い描いていたものの、突然の母親の死で、資格の取得をあきらめ、短大卒業後、店に入った美佳さん。季節は吉野山の観桜期。朝から閉店までひっきりなしにお客さんが訪れ、ひと息つく間もなく祖母や父親の指示のまま、店内をばたばたと走り回っていたという。「忙しかったおかげで母のことを思い出すこともなかったのですが、店が落ち着いたら、母のことばかり考えるようになって」。仕事も手につかなくなり、半年ぐらい休養をした。母親が生き生きと働いていた姿や、夕食時に楽しそうにお客さんの話をしていたことを思い出し、母親が大事にしてきた静亭で、自分は何ができるんだろうと考えてみたが、答えは見つからなかった。
しかし、母親が大切にしていたお客さんを出迎えるために、翌年には気持ちを奮い立たせ、店に復帰。「女将さんは」と尋ねられるたび、素直に母親のことを話したことで心の整理がつき、反対に勇気づけられたという。そしてそのうれしかった気持ちを手紙にしたため、お客さんに送るようになってから、静亭はお客さんにとって心がほっと落ち着く場所、第二のふるさとであってほしいと願っている自分の気持ちに気がついた。観光地の吉野とはいえ、来る人によって求めているものは違うという。「母が目指していたものは、その一人ひとりに合ったおもてなしだった。それは、私が目指したいことでもあったんです」と話す。
いまは夫と二人三脚で店を切り盛りする美佳さん。「祖母も父も亡くなりましたが、3人の子どもにも恵まれました。味だけでなく、想いも受け継ぎ、育てていきたい」。まだまだ女将奮闘中。でもいまは目指すべきところは、はっきりと見据えている。
「静亭」の店名は、お向かいの勝手神社で静御前が舞を舞ったことに由来するという。このお店は、NPO法人「奈良まほろばソムソリエの会」の加藤英之さんに教えていただいた。愛知県刈谷市にお住まいなのに、お嬢さんと一緒に何度もお店を訪問され「ここの柿の葉寿司は美味しいですよ」とお薦めいただいたのだ。加藤さんはその後、産経新聞の「なら再発見」に、柿の葉寿司の記事をお書きになった。
若女将さんはいつも明るくお元気なので、このようなご苦労があったことは、今回の「地域に生きる」で初めて知った。若女将さん、これからも素晴らしいおもてなしで、吉野へお客さまを引きつけてください! 西久保さん、素晴らしい記事を有難うございました!
※写真は若女将さんのブログと、お店のホームページから拝借
第二のふるさと目指し
季節料理 静亭 女将 林 美佳さん
「若女将(おかみ)」の愛称で親しまれている女性がいる。彼女は吉野山の勝手神社前で、季節料理や山菜料理を出す「静亭」の女将、林美佳さん(34)。「おかえりなさい」とお客さんを出迎え、「行ってらっしゃい」と見送る。その心は、母親で先代の女将から受け継いだ、静亭ならではの「おもてなし」。飾らない彼女の人柄にひかれ、地元はもとより各地からのリピーターが後を絶たない。
「20歳で母が亡くなって、心の準備もできないまま、お店に立ちましたが、女将というにも何の経験もありませんでした。あれから14年。ぼちぼち若女将は卒業なのかもしれませんが」と笑う。静亭は、戦後に祖母が始め、美佳さんの母親とともに切り盛りしてきた店。幼い頃から祖母や両親が働く姿を見て育ってきた。「一人っ子だったので、ことあるごとに跡を継ぐようには言われましが、一度ぐらいは外に出たいと社会福祉士を目指し、学校に通っていました」
束の間の夢を思い描いていたものの、突然の母親の死で、資格の取得をあきらめ、短大卒業後、店に入った美佳さん。季節は吉野山の観桜期。朝から閉店までひっきりなしにお客さんが訪れ、ひと息つく間もなく祖母や父親の指示のまま、店内をばたばたと走り回っていたという。「忙しかったおかげで母のことを思い出すこともなかったのですが、店が落ち着いたら、母のことばかり考えるようになって」。仕事も手につかなくなり、半年ぐらい休養をした。母親が生き生きと働いていた姿や、夕食時に楽しそうにお客さんの話をしていたことを思い出し、母親が大事にしてきた静亭で、自分は何ができるんだろうと考えてみたが、答えは見つからなかった。
しかし、母親が大切にしていたお客さんを出迎えるために、翌年には気持ちを奮い立たせ、店に復帰。「女将さんは」と尋ねられるたび、素直に母親のことを話したことで心の整理がつき、反対に勇気づけられたという。そしてそのうれしかった気持ちを手紙にしたため、お客さんに送るようになってから、静亭はお客さんにとって心がほっと落ち着く場所、第二のふるさとであってほしいと願っている自分の気持ちに気がついた。観光地の吉野とはいえ、来る人によって求めているものは違うという。「母が目指していたものは、その一人ひとりに合ったおもてなしだった。それは、私が目指したいことでもあったんです」と話す。
いまは夫と二人三脚で店を切り盛りする美佳さん。「祖母も父も亡くなりましたが、3人の子どもにも恵まれました。味だけでなく、想いも受け継ぎ、育てていきたい」。まだまだ女将奮闘中。でもいまは目指すべきところは、はっきりと見据えている。
「静亭」の店名は、お向かいの勝手神社で静御前が舞を舞ったことに由来するという。このお店は、NPO法人「奈良まほろばソムソリエの会」の加藤英之さんに教えていただいた。愛知県刈谷市にお住まいなのに、お嬢さんと一緒に何度もお店を訪問され「ここの柿の葉寿司は美味しいですよ」とお薦めいただいたのだ。加藤さんはその後、産経新聞の「なら再発見」に、柿の葉寿司の記事をお書きになった。
若女将さんはいつも明るくお元気なので、このようなご苦労があったことは、今回の「地域に生きる」で初めて知った。若女将さん、これからも素晴らしいおもてなしで、吉野へお客さまを引きつけてください! 西久保さん、素晴らしい記事を有難うございました!