橿原市見瀬町(見瀬丸山古墳のすぐ前)のスズ屋さんをご存じだろうか。以前、このお店で開かれた「スイーツ作り講習会」(2012.4.14)のことを、当ブログで紹介させていただいた。このたび、同店オーナー・パティシエの上田好孝さんが、なんと! 厚生労働省の「現代の名工」に選ばれた、おめでとうございます!
上田さんは「マジパン」を駆使した装飾がお得意である。マジパンとは、アーモンドと砂糖をローラーにかけてペースト状にしたもので、これを自由自在に加工していろんなものを表現される。奈良新聞「洋生菓子製造職人 上田さん選出 現代の名工」(11/11付)によると、
※写真は、「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」さんのホームページおよびT本さんからいただいたもの
厚生労働省は9日、工業技術や伝統工芸、料理など各分野で優れた技術、業績を持つ149人を平成26年度の「現代の名工」に選んだと発表した。表彰式は10日。県内から洋生菓子製造職人の上田好孝さん(65)=橿原市大軽町=が選ばれた。上田さんはマジパンを使った装飾の技能に優れ、県内の洋画菓子界のレベルアップにも貢献してきた。
実家は祖父の代に和菓子店を開業、父の代にパン屋と喫茶店を始めた。自身は会社勤めをしていたが、25歳の時、洋菓子を始めることを決意。奈良市の老舗店で修行に入った。当時は、生クリームのケーキが登場し始めた時代。西日本洋菓子コンテスト大会に出場しては、技術不足を思い知らされた。
35歳のころに出場した大会で、当時最先端のマジパンの技術に出合う。「素晴らしさに引き込まれた。県には情報が入っておらず、奈良でも頑張らないといけないという心が芽生えた」と振り返る。中心になって勉強会を開催し、県のレベルの底上げを図った。
自身の初期の作品は犬やウサギ、バラの花などが中心だったが、現在では動物がたわむれる公園の風景などストーリーを表現。技術向上のため、積み重ねてきた努力の成果を存分に発揮する。「ケーキ作りは夢のある仕事」と語る。一方「『もういいわ』では駄目。強い気持ちで作らないといけない」とも。妥協を許さない職人気質の一面を見せる。
40代後半から技能検定委員、平成26年5月までの4年間は県洋菓子協会長も務めて業界の発展と人材の育成に力を注いできた。後進には「辛いのを乗り越えると楽しさや面白さが出てくるのが職人の世界。自分で切り開くしかない」とアドバイスする。11月4日には、長男嘉規さん(35)が橿原市膳夫町に洋菓子店をオープンさせたばかり。現代の名工の認定と時期が重なり、「生涯忘れられない年になる。支えてくれた皆さんのおかげ」と笑顔で話した。
上田さんの功績については、奈良県産業・雇用振興部のHPに詳しい資料(PDF)が出ていたので、その一部を抜粋して紹介する。
上田好孝氏の卓越した技能の概要について
1.技能の概要
① 卓越した装飾技能
精緻な図柄と色彩感覚による「美しさ」と、動物をテーマとした「かわいさ」の絶妙のバランスからなる、極めて完成度の高いデコレーションを得意とし、社団法人日本洋菓子協会連合会創立四十周年記念(ジャパンケーキショー)において名誉賞を受賞したほか、数多くのコンテストで優秀な成績をおさめている。
なかでも、自由自在な造形と彩色が可能なマジパンの魅力にいち早く着目し、奈良県で初めて本格的にマジパンの技法を導入した草分け的存在でもあり、現在も第一人者である。氏は、ケーキの土台を、物語のワンシーンと捉え、色彩感覚と前後を連想させるポーズ、立体的な視点に基づいたパーツの割り付けにより、季節感と躍動感あふれる装飾を実現している。
② 新しい素材の商品化力
氏は洋菓子に最適な素材の研究を日夜重ね、新しい素材の商品化に力を発揮している。奈良の特産いちご「あすかルビー」の持つ、爽やかな酸味に着目し、カスタードクリームのトロリとした甘さと、タルト生地のサクサク感との絶妙のハーモニーを持つ「あすかルビータルト」を生み出した。また、西吉野名産の干し柿を用いた「柿けーき」は、干し柿の持つ濃厚な味わいを楽しむことのできるパウンドケーキである。これらの商品はいち早く「奈良のうまいもの」に登録されている。
2.功績・貢献の概要
業界への貢献
奈良県洋菓子協会の発足当時から協会の中心にあり、青年部の発足に多大な尽力をし、初代青年部長を務めている。特に、新しい技法の導入について、重要な役割を果たした。なかでも、マジパンによる装飾技法については、本県で初めて氏を中心に青年部として取り組み、協会活動を活性化させるとともに、若手技能者に講習会を実施し、本県の洋菓子製造の急速な発展に多大な貢献をしている。平成7年から同協会の副会長を、平成21年からは会長を務め、本県の洋菓子製造の牽引役となっている。
単に技術が優れているだけではなく、奈良県特産のあすかルビーや西吉野の柿を使った新商品を出されているのである。お店は近鉄岡寺駅から北へ徒歩4分。県下最大の古墳・見瀬丸山古墳の前にある。皆さん、ぜひ「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」をお訪ねください!
※食べログは、こちら
上田さんは「マジパン」を駆使した装飾がお得意である。マジパンとは、アーモンドと砂糖をローラーにかけてペースト状にしたもので、これを自由自在に加工していろんなものを表現される。奈良新聞「洋生菓子製造職人 上田さん選出 現代の名工」(11/11付)によると、
※写真は、「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」さんのホームページおよびT本さんからいただいたもの
厚生労働省は9日、工業技術や伝統工芸、料理など各分野で優れた技術、業績を持つ149人を平成26年度の「現代の名工」に選んだと発表した。表彰式は10日。県内から洋生菓子製造職人の上田好孝さん(65)=橿原市大軽町=が選ばれた。上田さんはマジパンを使った装飾の技能に優れ、県内の洋画菓子界のレベルアップにも貢献してきた。
実家は祖父の代に和菓子店を開業、父の代にパン屋と喫茶店を始めた。自身は会社勤めをしていたが、25歳の時、洋菓子を始めることを決意。奈良市の老舗店で修行に入った。当時は、生クリームのケーキが登場し始めた時代。西日本洋菓子コンテスト大会に出場しては、技術不足を思い知らされた。
35歳のころに出場した大会で、当時最先端のマジパンの技術に出合う。「素晴らしさに引き込まれた。県には情報が入っておらず、奈良でも頑張らないといけないという心が芽生えた」と振り返る。中心になって勉強会を開催し、県のレベルの底上げを図った。
自身の初期の作品は犬やウサギ、バラの花などが中心だったが、現在では動物がたわむれる公園の風景などストーリーを表現。技術向上のため、積み重ねてきた努力の成果を存分に発揮する。「ケーキ作りは夢のある仕事」と語る。一方「『もういいわ』では駄目。強い気持ちで作らないといけない」とも。妥協を許さない職人気質の一面を見せる。
40代後半から技能検定委員、平成26年5月までの4年間は県洋菓子協会長も務めて業界の発展と人材の育成に力を注いできた。後進には「辛いのを乗り越えると楽しさや面白さが出てくるのが職人の世界。自分で切り開くしかない」とアドバイスする。11月4日には、長男嘉規さん(35)が橿原市膳夫町に洋菓子店をオープンさせたばかり。現代の名工の認定と時期が重なり、「生涯忘れられない年になる。支えてくれた皆さんのおかげ」と笑顔で話した。
上田さんの功績については、奈良県産業・雇用振興部のHPに詳しい資料(PDF)が出ていたので、その一部を抜粋して紹介する。
上田好孝氏の卓越した技能の概要について
1.技能の概要
① 卓越した装飾技能
精緻な図柄と色彩感覚による「美しさ」と、動物をテーマとした「かわいさ」の絶妙のバランスからなる、極めて完成度の高いデコレーションを得意とし、社団法人日本洋菓子協会連合会創立四十周年記念(ジャパンケーキショー)において名誉賞を受賞したほか、数多くのコンテストで優秀な成績をおさめている。
なかでも、自由自在な造形と彩色が可能なマジパンの魅力にいち早く着目し、奈良県で初めて本格的にマジパンの技法を導入した草分け的存在でもあり、現在も第一人者である。氏は、ケーキの土台を、物語のワンシーンと捉え、色彩感覚と前後を連想させるポーズ、立体的な視点に基づいたパーツの割り付けにより、季節感と躍動感あふれる装飾を実現している。
② 新しい素材の商品化力
氏は洋菓子に最適な素材の研究を日夜重ね、新しい素材の商品化に力を発揮している。奈良の特産いちご「あすかルビー」の持つ、爽やかな酸味に着目し、カスタードクリームのトロリとした甘さと、タルト生地のサクサク感との絶妙のハーモニーを持つ「あすかルビータルト」を生み出した。また、西吉野名産の干し柿を用いた「柿けーき」は、干し柿の持つ濃厚な味わいを楽しむことのできるパウンドケーキである。これらの商品はいち早く「奈良のうまいもの」に登録されている。
2.功績・貢献の概要
業界への貢献
奈良県洋菓子協会の発足当時から協会の中心にあり、青年部の発足に多大な尽力をし、初代青年部長を務めている。特に、新しい技法の導入について、重要な役割を果たした。なかでも、マジパンによる装飾技法については、本県で初めて氏を中心に青年部として取り組み、協会活動を活性化させるとともに、若手技能者に講習会を実施し、本県の洋菓子製造の急速な発展に多大な貢献をしている。平成7年から同協会の副会長を、平成21年からは会長を務め、本県の洋菓子製造の牽引役となっている。
単に技術が優れているだけではなく、奈良県特産のあすかルビーや西吉野の柿を使った新商品を出されているのである。お店は近鉄岡寺駅から北へ徒歩4分。県下最大の古墳・見瀬丸山古墳の前にある。皆さん、ぜひ「ベーカリー・スイーツ・カフェ スズ屋」をお訪ねください!
※食べログは、こちら