tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の「大峯奥駈」(朝日新聞「人生あおによし」第5回)

2023年12月12日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、朝日新聞奈良版「人生あおによし」の第5回「大峯奥駈」である。この連載は2014年11月9日から、20回のシリーズとしてスタートした。掲載当時の原稿に少し手を入れたものを師から送っていただいたので、掲載順に紹介させていただく。
※写真は三重テレビ放送「新・ええじゃないか」(11/13)。僧侶は師のご子息の佑昌さん

大峯奥駈
修験を代表する修行である大峯奥駈修行は、大峯山脈伝いに170キロを跋渉する修行です。役行者以来、山伏修行の中でも、最も尊ばれた修行道です。

吉野・大峯とその地で伝承された修験道の営みを知ることは、神と仏を分け隔てなく拝み、大自然とともに育まれた日本の基層の文化と宗教に触れることであり、大げさに言えばそれは日本人のアイデンティティを取り戻すことにさえつながると私は思っています。

大峯修行は靡(なびき)と称される山中の拝所を中心に行じられます。靡とは役行者の法力に草木も靡いたという意味があり、修験道にまつわる神仏が出現する地、あるいは霊地とされます。

大峯修行成立時には峰中に百以上の拝所が定められていたようですが、徐々に集約されて、中世末には75ヵ所になりました。奥駈修行とはその大峯七十五靡の一つ一つに祈りを捧げる修行です。

近世以降は吉野山から大峯山上ケ岳へ参詣する山上参りが庶民にも広がりました。そこで、山上ヶ岳よりさらに厳しい奥に入る修行が「奥通り」と称され、大峯奥駈修行と呼ばれるようになっていきます。
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