tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の「奥駈の1日(上)」(朝日新聞「人生あおによし」第6回)

2023年12月14日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、朝日新聞奈良版「人生あおによし」の第6回「奥駈(おくがけ)の1日(上) 」。この連載は2014年11月9日から、20回のシリーズとしてスタートした。
※写真は三重テレビ放送「新・ええじゃないか」(11/13)。僧侶は師のご子息の佑昌さん

掲載当時の原稿に少し手を入れたものを師から送っていただいたので、掲載順に紹介させていただいている。この頃、還暦をお迎えになった利典師の「前半生の振り返り」である。

奥駈の1日(上) 
では奥駈の修行が実際にどのようなものかをお話ししましょう。私が行じた奥駈は吉野から熊野本宮まで7泊8日の行程です。1日目は朝4時、蔵王堂を出立します。

吉野水分(みくまり)神社、金峯神社では新客と呼ぶ初参加の人々の行を行い、本格的な山修行になります。11時間24㌔の行程を黙々と山上ヶ岳へ向けて行じます。途中からは急峻な岩場が続きます。先達の指導に導かれるまま、黙々と行じます。

山上ヶ岳の表の行場「西の覗(のぞ)き」は先達の指示に促され、断崖絶壁の岩場からロープで吊される捨て身の修行を課せられます。「親孝行するか」と一喝されて、たいていの人は縮み上がって「はい」と無心に答えます。

累々と続く岩を上り下りしてこの日の修行を終える先が山上本堂、大峯山寺です。標高1,719㍍の山頂ですが、重要文化財の本堂や寺務所、参籠所などの伽藍が並ぶ別天地です。
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