エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

豊かな老い

2008-01-19 | 日々の生活
   【厳寒の磐梯 崎川浜より】

 近くの大学の図書館を利用させてもらっている。静かな全面ガラス張りの暖かい室内から、しんしんと降る雪の庭をながめる。週に一度、幸せの空間でひとときを過ごしている。

 今日は、広い閲覧室のソファーに座り、文藝春秋2月号をゆっくり読んだ。
  ○「見事な死 ―阿久悠から黒澤明まで著名人52人の最期」を斜め読みした。
  ○「不老革命 アンチ・エイジングの衝撃」(立花隆・茂木健一郎・玄侑宗久等の座談会)は面白かった。
 中でも僧侶・玄侑宗久の話しは良かった。
・「長寿の人が尊敬を集めるのは、欲望を離れたから。」
・「日本では「翁」と言い、神に近づいた素晴らしいものと捉えていた。「アンチエージング」は、老いが否定的に捉えられるニュアンスがある。老いは豊かなもの。」
・「家康に長寿の秘訣を聞かれた天海僧正は、「正直、素食、日湯、陀羅尼、ときどき下風召さるべく候」と答えた。」
 陀羅尼とはヒンズー教のお経を音写することで、これは暗記したものを再生することで良いという。ときどき達治や藤村の詩歌を声に出して詠っている。これら長寿の秘訣はすぐに実践できることだ思った。

 座談会の最後は、「寿命100才時代を迎えることがはたして喜ばしいことなのか」だった。
 長く生きることを目的にしては駄目だろうが、量より内容のある豊かな老いを送りたいと思った。
 改めて、平均寿命ではなく、健康寿命が大切なことを再確認できた。
(2008.1.17)