●『海辺のカフカ』は文庫本で上巻が486ページ、下巻が528ページ 計1,000ページを越える長編小説だ。ようやく下巻の半分くらいまで読み進んだ。
ナカタさんと、彼の旅に同行して四国までやってきたホシノさんがとうとう「甲村記念図書館」に行き着いた。パラレルに進行してきたふたつの物語がいよいよ重なってきた!!
この図書館の館長の佐伯さんとカフカ少年のセックスはなんとも多義的だ。佐伯さんはカフカの母親であり、同い年の少女であり、50代の美しいおばさんでもあるし、佐伯さんにとってカフカは亡くなったかつての恋人でもあるのだから。
**「君はいつか君の手でお父さんを殺し、いつかお母さんと交わることになる---そうお父さんが言ったわけだね」
僕は何度かうなずく。
「それはオイディプス王が受けた予言と全く同じだ。そのことはもちろん君にはわかっているんだろうね?」**
既に上巻の最後に図書館の司書というか、助手の大島さんがこんなことを言っている。「君」とはもちろんカフカのことだが、同時に読者を指しているようにも読める。読者に対する駄目押しだ。
カフカの父親、田村浩一はカフカが家を出た後に殺されている。カフカが「直接」殺したわけではない、しかしその時四国高松にいた彼のシャツに付いていた血が意味するものは・・・。
この長編小説は表層を追うだけでも充分堪能できるし、多用される暗喩表現をどう読み取るかによってれぞれの読者に異なった深層世界が展開する。
今夜もブログどころではない・・・。あしたは休日、久しぶりに今夜は夜更かしをして一気読みをするか。