透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

楽しみな夏の公開講座

2007-07-09 | A あれこれ



● 東京土建技術研修センター主催の公開講座の受講券が届いた。昨年に引き続き今年も受講する予定。

今回の講師は富山市在住の棟梁島崎英雄氏。東京の友人が送ってくれたパンフレットによると、島崎氏は古民家に伝統的な建築技術を学び、その技術を生かした家造りに取り組んでおられる方だという。

在来木造住宅は依然として造られてはいるが、主要な構造部の柱や梁は今や工場の加工機械によってプレカットされることが多い。大工さんが加工場で墨付けをして刻む機会が激減してしまった。仕口や継手(部材相互のジョイント)が簡略化されて金物を使うことが多くなった。

伝統的な継ぎ手を用いれば金物を使わなくても部材は強度的に一体化するのだが、それを定量的に評価することは難しい。法規が金物を使う安易な構法の採用を規定している背景のこうした事情も分からないわけではないが、伝統的な木造技術というこの国固有の文化を守らなくてはならないという理念の欠如を指摘せざるを得ない。

石膏ボードで構造体を隠してしまってビニールクロスを貼って、ハイ、デキアガリ。これでは確かに手間のかかる仕口や継手を使うことを躊躇うことにもなるだろう。設計者としては優れた技を隠さずに見せるような設計を心がけなければならないだろう。

このような時代にあっても伝統的な構法にこだわっている大工さんもおられる。おそらく島崎氏もそのひとりだろう。

島崎氏は**家を百年もたせるには百年経った家を見ればいい**と説き、続けて**法規は建った今のことだけを言う。新築ばかり見てたんじゃだめだ**と指摘する。長年の経験に基づく言葉は重い。

公開講座は来月5日の午前10時から、当日は早起きして出かけよう。