■ 建築でコーンというと黒川紀章氏の作品。ガラスのコーンが何を意味しているのか、氏の説明文を目にしたことがないので分からない。昨年の12月21日にこう書きました。
黒川さんの作品に頻出するガラスのコーン。とうとう黒川さんの説明文を見つけました。「建築ジャーナル」という月刊誌の7月号に載っていました。
**エントランス部分にコーンを使う理由は何かあるのでしょうか**黒川さんの設計事務所にかつて在籍していたある建築家がインタビューしています。
**もともとコーンの形状が好きだという個人的な理由はあった。(中略)コーンは同底面積の円柱よりも経済的ということもある。仮に円柱の形状にしたら柱梁だけでは剛性が確保できずにブレースを入れなければならないが、コーンはブレースなど必要ない。(中略)カーテンウォールはもちろんフラクタル曲線である。それに宇宙的形状のコーンを溶け込ませることで共生を表現している。** 黒川さんはこのように答えています。
近代建築の特徴である幾何学的な形状のコーンと曲面で構成されている近未来的な外壁との共生、過去と未来の共生。理屈を敢えてつければこのようになるのでしょうが、黒川さんはコーンが好きなんですね。
以前も書いたことの繰り返しになりますが、建築家は好きな形をデザインに採りいれます。好きな形に収斂させる、そのためにスケッチしているようなものです。それにもっともらしい理屈を後から付け加えるんです。
黒川さん、インタビューに素直にコーンが好きだと告白していました。これでスッキリしました。