透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

空間デザインの鍵とは

2007-07-29 | A あれこれ



 ブリヂストン美術館の「ジョルジェット」で村上春樹の短編集『中国行きのスロウ・ボート』中公文庫を少し読んだと既に書いた。この短編集のことは小川洋子がエッセイ集『博士の本棚』でとり上げている。

さて、本題。

このティールームが好みの空間だったことも既に書いた。好みの理由を挙げればシンプルで端正なデザインといったところか。床は無垢のフローリング、その周囲を大理石で縁取りしていた。壁と天井はペンキ仕上げ、やや黄色を帯びた白、いやクリーム色と書いた方が伝わるかもしれない。そしてシンプルな照明。決して長居をしたくなるような雰囲気ではなかったが、ピンと張り詰めた空気がよかった。

ティールームの雰囲気を規定するもの、もちろん床、壁、天井、家具、照明などの建築構成要素が大きく効くだろう。でも他にも窓外の景色やそのときの天気、食器のデザイン、BGM、メニューリストのデザイン、店員の服装や振る舞い・・・、コーヒーの味も関係する。

丸の内オアゾの丸善、その4階のカフェ(名前は覚えていない)の雰囲気も好きだが、両者は共通している。それは、藤森さんが説明した「白い空間」に属するということだ。抽象的な空間だが、私なりに喩えれば定規を使って引いた線で構成された空間と表現できる。抽象度には差があって「ジョルジェット」の方が高いが。

藤森さんの説明を借りれば白の対となるのは「赤」。ものの素材感に因っている空間のことだ。こちらはフリーハンドの線というか面で構成された空間だといえるだろう。このような空間を創る代表選手が藤森さん自身というわけだ。

メニューリストのようなものも含めてトータルにきちんとデザインされているところはいいトータリティ、これが空間(別に空間に限ったことではないだろうが)デザインの鍵、そう思う。

ところで、好みというのは単純ではない。私は「白」にも「赤」にも魅力を感じる。先に挙げたふたつの「白いカフェ」の他にも居心地が良くて半日くらい本でも読んでいたくなるような「赤い喫茶店」(カフェはどうも白のイメージだ)にも今回出合った。低い天井、レンガ積みのエントランス、暗めの照明、アンティークな柱時計、壁にディスプレイされたお皿・・・。時がゆっくりと流れているような空間、こちらも好き。

写真は「ジョルジェット」のコースター、シンプルで空間の雰囲気にあったデザイン。トータリティとはどこまで気配りができるか、ということでもある。

追記:「赤」と「白」に関して伊東豊雄さんは「白は妹島に任せた。おれは赤に行く」となにやら運動会のようだがそんな宣言をしたとか・・・。


 


東京でアートした記念

2007-07-29 | A あれこれ



 チケットを私はダイアリーに貼ってとっておきます。



 青木繁は1882年に生まれて1911年に亡くなっているんですね。夭折した画家だとは知りませんでした。この写真は今回の展覧会のパンフレットを撮ったものです。「海の幸」は青木が22歳のときの作品。10人の裸体の男たち(正確には9人の男と1人の女)がサメを担いで歩いて行きます。ひとりだけこちらに白い顔を向けていますが、この女性は青木繁の恋人だとか。



 上:展示作品の佐伯祐三の「テラスの広告」の絵はがき。
 下:スーラの例の有名な絵、「〇〇日曜日の午後」(〇〇は覚えていません)が立体的に見える優れもの。



 昼と夜


 


週末東京でアートする

2007-07-29 | A あれこれ





いせや JR中央線 吉祥寺駅から徒歩10分

 「昼間っからビール」で休日気分!時の流れから取り残されたような昭和な空間。隣りがスタバっていうのも、その「取り残され感」が強調されているような雰囲気だ。

以上1日目  以下2日目


ブリヂストン美術館 東京駅八重洲口から徒歩5分

青木繁の「海の幸」アート情報がそれ程ストックされていない私もこの作品は知っていた。

作品はかなり横長、本などで紹介される場合、中央部分しか掲載されないこともある。こんなに未完成な様相だったのか・・・。もっとキッチリ描きこんだ油絵というイメージを持っていたが、特に両サイドは透明水彩でさらっと描いたというような印象。


Tearoom Georgette ブリヂストン美術館1階

シンプルかつ端正なデザイン、知的な雰囲気のテールーム。テーブルの上のコードペンダントが印象的だった。本の表紙にうっすらと写っているのがその照明器具。オアゾ内の丸善で買い求めた村上春樹の最初の短編集を少し読んだ。この空間は彼の作品に似つかわしい。



東京国立近代美術館 東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分

民族、歴史、風土・・・ブレッソンの写真は一瞬にしてこれらを切りとってみせる。「決定的な瞬間」に立ち会うことが出来るのも才能か・・・。