■『複合汚染』 この小説は昭和49年10月から翌年6月まで朝日新聞の朝刊に連載された、と解説にある。新潮文庫に納められたのが昭和54年、その年の6月に私も読んでいる。
作家有吉佐和子はこの長編小説によって工場廃液や合成洗剤、化学肥料、除草剤などによる環境の複合汚染、自然と生命の危機に警鐘を鳴らした。
昨晩「プロフェッショナル」に登場した吉野隆雄さんはこの本に衝撃を受けて化学肥料も除草剤も使わない農業を始めたという。雑草と格闘すること10年、その間コメの収穫量もかなり少なかったらしい。その吉野さんがアイガモ農法と出会う。アイガモが雑草を食べ尽くす、その糞が肥料になる。この農法の実践も失敗の繰り返しだった。だが吉野さんはポジティブに考える、「失敗の数だけ、人生は楽しい」と。
経験に基づく言葉は重い。この番組に登場する人たちの言葉に感銘し涙することもしばしばだ。
加齢とともにますます涙もろくなった私にとって、「プロフェッショナル」は涙番組だ。