■ 村上春樹を巡る旅もようやく最後の長編『ねじまき鳥クロニクル』に到達した。当初長編小説に限定していたが、途中で短編小説に寄道したりもした。
この作家は短編より長編の方がいいような気がする。そう結論付けるにはもっと多くの短編を読まなければならないだろうが。
初期3部作はどうも読みにくかった。文字の上を目がすべるだけで物語が立ち上がってこなかった。ところが先日読んだ『国境の南、太陽の西』などは随分読みやすかった。僕が村上春樹の小説に慣れたということなのか、それとも小説の方が変わってきたのか。どうも後者のような気がする。今となっては初期3部作がなつかしい。
ところで、不思議なことにあることに関心をもつとそのことに関係することが次々と表れてくる。
月の満ち欠けと生命体のリズムとはシンクロするということに関心をもっているのだが、それに関係したことが『ねじまき鳥クロニクル』にも出てくる。
**馬というのは肉体的にも精神的にも、月の満ち欠けに非常に大きく影響される動物なんだ。満月が近づくにつれて、馬の精神波はものすごく乱れるし、肉体的にもいろんなトラブルが出てくるんだ。**
自分が関心を持っていることが小説に出てくるのはうれしいことだ。
**ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか。**
こんなことを<僕>が考えるが、僕もこのことには関心を持っている。小説のテーマとどの程度関わるのか未だ分からないが・・・。
この長編がこれからどんな展開になっていくのか。今週末、また電車の中で読むことにしよう。