■ ノンフィクション作家(という肩書き)の柳田邦男さんは、かつて航空機事故の際にはNHKの解説委員としてテレビ出演して冷静に事故の解説をしておられた。客観的な事実のみを分析して明快なコメントをしておられたことを覚えている。
その柳田さんが先日信州岩波講座で行なった講演の要旨が今朝の新聞に載っていた。柳田さんは息子さんを亡くされたのを契機に生命や終末医療についても積極的に発言されるようになった。
科学的な視点から航空機事故を論じておられた柳田さんが、**家のなかにも神棚も仏壇もなくなり、手を合わせて祈るということが日常生活から消えつつある。それは日本人にとっての危機ではないかと私は思う。**と語っておられる。科学だけでは幸福感を持てないと主張している。
柳田さんは**人間の命や死は、科学で見ると一律だが、関係する人の立場によって全く違ってくる。**とも語っておられる。科学とは別のアプローチをすることによって命や死が全く違った様相を呈するというわけだ。
「それは非科学的だ」というコメントには科学的でないから信頼できない、というニュワンスが含まれる。しかし「科学」は万能ではないのだ。
科学的には意味の無い不思議な偶然を無視しないことが大切だと柳田さんは主張している。「偶然にも意味がある」ということになるのだろう。
今夜は「偶然の出会いにも意味がある」ということを考えてみよう。