■ 季節に合わせて時刻を変える「不定時法」。1日を昼と夜にまず分けてそれぞれを6等分して一刻(いっとき)を決める。この方法だと冬至の昼は一刻が1時間50分、夜は一刻が2時間10分くらい、夏至は昼の一刻が2時間40分、夜が1時間20分くらいになるという(上の表紙に昼の時刻(明六つ)を示すイラストがある)。季節で昼も夜も一刻の長さが違うのだ(そうか、知らなかった・・・)。
この不定時法で生活してみて、著者の田中さんは野鳥が不定時法で生活していること、人も不定時法の方が身体のリズムにあっていることなどが分かったという。
行灯のもとで版本や浮世絵を見ると非常にくっきりと見えるそうで、浮世絵を電灯のもとで見るのと行灯のもとで見るのとでは印象が全く異なるそうだ。
筆は今と江戸時代ではかなり違うようで、巻筆と呼ばれる江戸時代の筆は仮名の繊細な線が美しく書けるそうだ。このことも田中さんが試して確認している。
他にも火打ち石で火をつけてみたり、着物で暮らしてみたり(私がテレビで見る田中さんはいつも着物姿だ)、下駄履きで歩いてみたりといろいろ試している。
体験江戸学、体験して初めて気が付いたエコな江戸の暮らしの知恵と技術を紹介する本。
『大江戸生活体験事情』 石川英輔・田中優子/講談社文庫