『ユニバーサルデザインとはなにか バリアフリーを越えて』古瀬敏 編著/都市文化社選書(1998年発行)
■ 今では「ユニバーサルデザイン」はよく知られた、馴染みのあることばになりました。UDなどと表記されることもあります。ユニバーサルデザインという考え方が提唱され始めたころは、何それ? バリアフリーとはどう違うのか、という疑問もあったようです。そのころにはこんな本も出版されました。
「ゆりかもめ」 新橋駅
何年か前、韓国旅行をした際、ソウルの地下鉄では駅をアルファベットと数字の組み合わせで表記していることを知りました。「あ、いいシステムだな」とその時思ったことを覚えています。ハングル文字の読めない人にも分かりやすいですから。そう、これこそユニバーサルデザインなんですね。駅名ではなく、アルファベットと数字を覚えるだけで、乗り降りする駅が分かります。このシステムは東京の地下鉄などにも導入されています(写真)。
さて、本題です。今回取り上げるのはこの標識です。これはなんでしょう・・・。
これは総合病院の整形外科の診察室前の壁などに取り付けられています。ポキっと骨が根もとから折れている様子をデザインしたピクトサインです^^。
大きな総合病院では一体どこに行けばいいのか分かりにくいですね。もっとも最近では、分かりやすい総合案内板がエントランスホールに設置され、各階のEVホールなどにも案内板が設置されるようになって、改善されてきてはいますが。廊下の床面にずっと線を引いてあるところもあります。例えば黄色い線を辿っていくと、自然に目的の場所に到達できるという、いいアイディアです。
でも診察室の入口の表記が「整形外科・診察室」などのような漢字表記では、視力や判断力の衰えた高齢者や小さな子どもには分かりにくいですよね。漢字の読めない外国人にも。そこで、ユニバーサルデザインの考え方に基づいてこのようなサインが提唱され、採用されたというわけなんです。これなら分かりやすいし、覚えやすいですよね。
すべての診療科がこのような分かりやすくて覚えやすいビジュアルサインになれば、いいですね・・・。