『日本の建築遺産12選 語りなおし日本建築史』 磯崎新/新潮社 とんぼの本
「磯崎流日本建築史」を読む。
日本の建築は常に外部から技術を取り入れ、それをオリジナルとは違う形に独自に変形させてきた。磯崎さんはこの変化の過程を「和様化」と捉え、その歴史を語りなおすという試みをしている。
この論考で取り上げられる日本建築を特徴づけるふたつの流れ、「垂直の構築」と「水平の構築」。柱を立てる行為に象徴的な意味があるとする垂直の構築と横の広がりを建築の内部にとりこむ営み、水平の構築。取り上げた12件の建築をこのふたつの概念で対にして読み解いていく。その過程で明らかにされる「和様化」とは・・・。
それを私なりに解釈すると、「くずしの美学」だ。
形式がきっちりして固すぎるヨーロッパや中国のデザインのかたちをくずし、固さを取り払っていく日本の建築。そういえば伽藍配置もシンメトリックな構成が次第にくずされていったのだった(『法隆寺の謎を解く』 武澤秀一/ちくま新書)。それは漢字が楷書から草書へとくずされていき、ひらがなを生んだ文化にも通じる。
しかし、今や「グローバリゼーション」の時代。「和様化」の時代は終わった・・・。これからどうする?