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■ 今月読み続けている漱石の『吾輩は猫である』に次のようなくだりがある。
**ますます神の全知全能を承認するように傾いた事実がある。それはほかでもない、人間もかようにうじゃうじゃいるが同じ顔をしている者は世界じゅうに一人もいない。顔の道具はむろんきまっている、大きさも大概は似たり寄ったりである。(中略)よくもまああれだけの簡単な材料でかくまで異様な顔を思いついたものだと思うと、製造家の伎倆に感服せざるをえない。よほど独創的な想像力がないとこんな変化はできんのである。**(164頁)
火の見櫓の観察を続けていると、同じ想いを抱く。
Tさんに謝謝。