■ 昨晩(22日の夜)、「たけしアートビート」というNHKのテレビ番組を見ました。ビートたけしが宮大工棟梁の小川三夫氏を斑鳩の里に訪ね、ふたりで薬師寺の東塔(国宝)の内部に入って、1300年も前の職人たちの技を観たり、師匠の話をしたりするという内容でした。以前見た同番組ではピアニストの辻井伸行さんがビートたけしのイメージを即興で弾いていました。
ところで小川三夫氏の師匠は昭和の名工、宮大工棟梁の西岡常一氏です。西岡氏の『木のいのち木のこころ』新潮OH!文庫に「塔堂の木組みは寸法で組まず木の癖で組め」という口伝が紹介されています。上の左の+のように寸法だけにこだわって組むのではなく、右の+のように不揃いな部材を癖を見抜いて組むことの大切さを説いているのです。
**左に捻じれを戻そうとする木と、右に捻じれを戻そうとする木を組み合わせて部材同士の力で癖を封じて建物全体のゆがみを防ぐんですな。もしこのことを知らずに、右に捻じれそうな木ばかりを並べて柱にしたら、建物全体が右に捻じれてしまいますな。(中略)法隆寺の五重塔や金堂を解体してみまして、この口伝が完璧に守られているのを感じました。**(155頁)
1300年も前となると、今のような大工道具、例えばのこぎりも無くて、部材の寸法も不揃いだったそうですが、それらを上手く組んで塔堂を造り上げているというのです。凄いですね。その技は私には見えないでしょうが、その塔堂の前に立ちたいです。
晩秋の奈良・・・。