透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

生坂村の道祖神

2021-09-04 | B 石神・石仏

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東筑摩郡生坂村北陸郷牛沢 撮影日 2021.09.02

 前の記事の火の見櫓(1294)の横にこの道祖神が祀られていた。おにぎりのような形の自然石に双体道祖神を彫り込んである。右も道祖神だが、像が損耗していて辛うじて道祖神と分かる。


細かな線刻が無く、各パーツを平らな面として表現しているためかグラフィックでモダンな印象。像の下に牛沢邑と彫ってある。邑は集落とか地区という意味。


右側面に建立年が彫り込まれている。慶応4年は1868年。


裏側に帯代 貮拾両の文字。帯代については既に書いている(過去ログ)。


 


ブックレビュー 2021.08

2021-09-04 | A ブックレビュー



 8月に読んだ本は3冊。

島崎藤村の長編歴史小説『夜明け前』(新潮文庫)全4巻の再読を終えた。このことに満足。吉左衛門と主人公の半蔵、ふたりは木曽街道の馬籠宿の本陣当主、また庄屋、問屋の主という同じ立場にありながら、人生はあまりにも違う。座敷牢で死を迎える半蔵。幕末から明治へ、激動の世に流された半蔵の孤独な人生。この長編、もう一度読む機会があるだろうか・・・。

北 杜夫の『楡家の人びと』と『夜明け前』、両作品の時代背景は違うけれど、徹吉と基一郎、半蔵と吉左衛門、この二組の親子関係には共通点がある。基一郎と吉左衛門という主人公の父親の充実した日々の暮らし、仕事を継いだ主人公の徹吉と半蔵の苦悩の日々。徹吉と半蔵はそれぞれ作者の父親がモデルというところも共通している。主人公ふたりの苦悩は自身の性格に由来するところもあるだろうが、やはり時代の変化が大きいと思う。まあ、いつの世も人生いろいろ。

北 杜夫の小説は読み返すことがあるだろうと、多くの単行本、文庫本を自室の書棚に残してある。しばらく前『消え去りゆく物語』(新潮文庫2003年)を再読した。文庫には八編の短編小説が納められている。「都会」はパスポートの更新のために西新宿の都庁まで出かけた時の出来事、現実から幻想世界へ・・・。高層ビル群が密林に姿を変える。**「もう都会は、人間の住む場所じゃないのだな」そう思ったとたん、周囲の光景が一変した。淀みきった灰色の、うす汚れたコンクリートの、或いは金属色の世界が、ふっとかき消えた。そして私は、滴るような緑の樹林の中にいたのである。**(20頁)それから公園の木馬が駿馬となってドイツを駆ける「駿馬」。どの作品も妙な設定ではあるが、それほど違和感は感じない。

『新型コロナワクチン本当の「真実」』宮坂昌之(講談社現代新書2021年)を読んだ。下の章立てのような疑問、不安に答えている。既にワクチン接種を終えた人にもこれから接種するという人にも、接種をためらっている人にも一読をおすすめしたい。

はじめに
プロローグ 新型コロナウイルス感染症はただの風邪ではない
第1章 新型コロナワクチンは本当に効くのか?
第2章 新型コロナワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはそもそもなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来「不利益」を被ることはないのか?
第5章 ワクチン接種で平穏な日常は戻るのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新しい治療法、そして未来
エピローグ