■ 寅さんシリーズをハイペースで観ている。3日の夜、第41作「寅次郎心の旅路」を観た。この作品で寅さんはウイーンへ行く。この作品のマドンナは竹下景子が演ずる観光ガイドの久美子。竹下景子は第32作「口笛を吹く寅次郎」と第38作「知床慕情」でもそれぞれ別のマドンナを演じている。この2作では彼女には恋人がいなくて、寅さんに思慕するけれど、心の旅路では恋人がいるという設定だから、寅さんに恋することはない、残念。
東北のローカル線で自殺未遂をしたサラリーマンの坂口兵馬(柄本 明)。偶々電車に乗っていた寅さんは彼を誘って温泉旅館に一緒に泊まる(寅さんがやさしくするのは女性ばかりではない)。寅さんに心酔した(旅先で知り合った人に寅さんがする話は実に説得力がある)兵馬は寅さんを自分が行きたいウイーンへの同行を乞う。
とやらに帰った寅さんはみんなと相談、ウイーン行きを断ろうとする。だが、結局とらやに迎えに来た兵馬と成田からウイーンに向けて飛び立つ。第25作「寅次郎ハイビスカスの花」では寅さん、飛行機が大嫌いで沖縄で病に臥しているリリーのところへやっとの思いで駆け付けたけれど、どうやらその後、飛行機嫌いを克服していたらしい。
さてウイーンを湯布院と間違えた寅さんは音楽にも絵画にも全く興味がない。町に出て道に迷った寅さんはガイドの久美子に声をかけられ、知り合いになる。宿泊しているホテルの名前も分からない寅さん・・・。仕事中の久美子は世話になっているマダムに助けを求める。マダム役は淡路恵子、「知床慕情」では竹下景子が演じたりん子の父親(三船敏郎)と結婚する役を演じている。この時のふたりの演技が山田監督に気に入られたのだろう、この作品で再度共演している。
カフェで会った寅さんとマダム、自己紹介でマダムが柴又の隣町の金町の出身だと知る。マダムの自宅に招かれた寅さんはお茶漬けをご馳走になりすっかりご機嫌に。マダムは寅さんのホテルも探してくれていた。そこへ仕事を終えた久美子も訪ねてきて、寅さんの話しに大笑い。すっかり仲良しに。
マダムの部屋のピアノの上にオーソンウェルズ(?)の写真が飾ってあり、第三の男のテーマがイントロクイズのように一瞬だけ流れる。そうか、あの映画の舞台もウイーンだったな、と思って観ていると、オーソンウェルズだと思っていたのはご主人の写真だった。第三の男へのオマージュかな。
翌日、寅さんは久美子が運転する車(シトロエン)でドナウ川までドライブ。川のほとりで、寅さんは久美子になぜこんな遠い国へ来たのかと訊く。寅さんに心を許した久美子は色々な話をする。日本に帰りたくても帰れない久美子に、一緒に日本に帰ろうと誘う寅さん。
数日後だと思うが、久美子は恋人のヘルマンに会い、日本に帰ることを告げる。恋人が引き止めくれることを心で願いながら。ヘルマンはショックを隠し、久美子の気持ちを尊重すると言う。久美子は迷いながらもマダムに帰国することを告げる。ウイーンの国際空港、出国間近の寅さんと兵馬、そして久美子。3人を見送るマダム。空港にタクシーで駆け付けたヘルマンが走ってきて、久美子を抱きしめる。久美子は帰国をドタキャン、ウイーンに留まることを寅さんに告げる。
失意の寅さん、帰国してとやらに帰ってきても元気がない。みんが土産話を聞きたがるが、寅さんは話そうとしない。どこに行ったって同じでしょうと、あっさり。
しばらく経って、兵馬がとらやを訪ねてくる。みんなは兵馬が撮った写真を見る。美人とツーショットの寅さん。ウイーンで何があったのかみんな察する。外国でも変わらない寅さん。
まあ、寅さんは日本の原風景、いかにも故郷といったところを旅する方が似合っているというか、相応しいと思う。そう、寅さんシリーズは日本のふるさと巡りの映画なのだから・・・。
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