■ スタバで朝カフェ読書。雨の朝には読書が相応しい。漱石の『門』(新潮文庫1948年発行、1994年100刷)を読み終えた。スタバを出て隣接するTSUTAYAへ。DVDの寅さんコーナーに今までなかった第13作「寅次郎恋やつれ」があった。この作品は第9作「柴又慕情」の続篇だから、第9作を先に観る方が好いのだろうけれど、第9作が棚にないから、やむなく第13作を借りてきて観た。
寅さんシリーズは家族愛、家族の絆がテーマだと書いた。本作はこのテーマがきっちり描かれた作品。
旅から柴又に帰ってきた寅さん、「重大発表」があるなどと言うものだから、とらやでは寅さんの結婚相手が決まったのかと大騒ぎ、大喜び、前祝。さくらとタコ社長が寅さんと一緒に相手の女性に会いに行くことに。女性は島根県の温泉津(ゆのつ)の窯場で働く絹代(高田敏江)さん。ところが寅さんたちが絹代さんに会うなり蒸発していた亭主が戻ってきたことを聞かされて・・・、寅さん早くも失恋。3人で泊まった宿から寅さんはひとりで翌朝早く旅に出る。
津和野の食堂で寅さんは2年前に別れた歌子(吉永小百合)さんと超偶然な再会。歌子さんは夫と死別してからも夫の実家で姑と義姉と暮らしている。その後、歌子さんは東京で職を得て暮らしたいととらやを訪ねてくる。
ここからは娘と父親との和解の物語。ふたりの間を取り持ったのはもちろん寅さん。ある日、歌子さんの父親がとらやを訪ねてきて娘と再会、そしてお互いに謝罪。この場面では涙もろいおばちゃんはもちろん、おいちゃん(松村達雄)もさくらも涙、寅さんも。生みの母親の愛情を知らず父親とも不仲で家を出た寅さんが深い絆で結ばれている父親と娘を見て流した涙、それはもちろんうれし涙、それと自分の不幸な生い立ちを想っての涙でもあるだろう。寅さんが店先で戸に寄りかかりうつむいて泣く姿に僕も泣いた。今こうして書いていても涙が出る。
寅さんは父親と暮らすようになった歌子さんを訪ねる。縁側で遠くの花火を見るふたり。
場所が変わってとらや。みんなが裏庭で花火をしている。寅さんが2階からカバンを持って降りてくる。ひとり静かに旅に出て行こうとする寅さんに電話に出ていたさくらが気がついて言う。「お兄ちゃんどうしているかな~って、いつだってみんなそう思っているのよ」お兄ちゃんを見送るさくら・・・。さくらのこのことばは寅さんがとらやの家族と強い絆で結ばれていりことを示している。寅さんは決して根無し草ではない。
寅さんが会いに行ったのは伊豆大島の福祉施設で働く歌子さんではなく、温泉津の絹代さんだった。寅さんは絹代さん一家が海水浴場で楽しそうに遊んでいることに気がつくのだった・・・。そう、ラストは家族愛のシーン。
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第4作 「新・男はつらいよ」栗原小巻
第9作 「柴又慕情」吉永小百合
第24作「寅次郎春の夢」香川京子
第45作「寅次郎の青春」風吹ジュン
第49作「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」浅丘ルリ子