■ 寅さんシリーズ第42作「ぼくの伯父さん」を観た。
この作品の主役は寅さんの甥の満男君。満男君は高校の後輩の泉ちゃんが佐賀の叔母さんのところで生活を始めたことを知り、東京から佐賀までバイクで会いに行く。超偶然にも佐賀の宿で寅さんと相部屋になった満男君は伯父さんと一緒に泉ちゃんの家を訪ねる。ここでマドンナ登場となるところだが、叔母(檀 ふみ)さんは高校教師の夫とおじいさん(義父)、泉ちゃんと暮らしていて、寅さん一目惚れといういつものパターンにはならない。そう、この作品にマドンナはいない。泉ちゃんは満男君のマドンナ。寅さんの恋模様が描かれないとなると、あまりおもしろくない。
ところで泉ちゃんの叔母・寿子さん役の檀 ふみさんは第18作「純情詩集」にも出演している。この作品では満男君の小学校の担任・雅子先生の役。1976年12月公開の作品で、この時は寅さん、雅子先生に一目惚れだったのに・・・。時は流れて、本作の公開は1989年12月、前作から13年経っていて、22歳だった檀 ふみさんも本作のときは35歳。小学生だった満男君は浪人生。
佐賀といえば吉野ケ里遺跡。満男君は泉ちゃんとバイクで、寅さんはおじいさんが会長をしている郷土史会の仲間と小型のマイクロバスで。吉野ケ里遺跡の物見櫓(物見やぐら)が映っていた。青森の三内丸山遺跡にもやはり櫓がある。古代からある櫓、そう、火の見櫓の原初は縄文・弥生時代と捉えていいのかもしれない。
*****
満男君はバイクで東京に帰り、寅さんは旅へ。寅さんからの電話にさくらが出る。
「そこにみんないるのか?」
「うん、みんないるわよ。おいちゃん、おばちゃん、社長さん(タコ社長とは言わなかった)、裏の工場のゆかりちゃん、越後屋さん、三平ちゃん、源ちゃん、博さん。もうお店いっぱいの人よ~、どうしてお兄ちゃんがここにいないの~」
なんだろうな、なんだか寂しい気分・・・、寅さんシリーズの終わりを予見させるような場面。
ラスト、お決まりの凧揚げのシーン。さくらの家に泉ちゃんが来ている。そう、寅さんのマドンナがとらやを訪ねたように満男君のマドンナ・泉ちゃんは満男君の家を訪ねる。
その頃寅さんは神社(*1)の長い石段の途中で啖呵売・・・。
やはりマドンナは寅さんに会うためにとらやを訪ねて欲しいし、寅さんは柴又からさくらに見送られて旅に出て欲しい。そう、寅さんシリーズは家族愛の物語なのだから。
1 2 3 5 6 7 8 10 11 12 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 46 50
*1 佐賀県小城市小城町にある須賀神社