透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

C4「蝶のゆくへ」

2021-09-07 | A 読書日記

C4『蝶のゆくへ』葉室 麟(集英社文庫2021年)



 先日のこと、高校の同級生I君と渚のスタバで久しぶりに会った。対面を避け、ひとり用の席に横並びに座り、あれこれ話をした、もちろんマスク着用で。彼は既に退職、サンデー毎日な生活をしている。日々の過ごし方を訊いた。ジムに通い、絵を描いている、それから歴史小説をよく読む、と彼は答えた。葉室 麟の作品は何作か読んだが、このところ読んでいないと私は応じた。

で、紹介されたのが葉室 麟の『蝶のゆくへ』(集英社文庫)という、私が知らない小説だった。この小説の主人公は星 りょう、後の相馬黒光だと聞いて読んでみたいと思った。昨日(6日)の夕方、立ち寄った書店で買い求めた。

相馬黒光は夫の愛蔵とともに信州は穂高から東京に出て(黒光は田舎暮らしに馴染めなかったようだ)、中村屋を創業した女性。この小説には北村透谷や島崎藤村、国木田独歩、樋口一葉、それから萩原守衛(碌山)らが出てくる。一葉について書かれた本を何冊か読んでいるので、この作品でどんなことが描かれているのか、楽しみ。過去ログ

碌山の代表作である「女」はりょう(黒光という名前で憶えている人が多いのでは、私もそう)がモデル。小説にこのことが出てくるのか分からないが。

りょう(黒光)の娘は日本に亡命したインド独立の闘士ボースと結婚する。最後の方にこのことも出てくることをパラパラと頁をめくって確かめた。ボースについては『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』中村岳志(白水社2005年)に詳しい。過去ログ

新書が続き、小説を読みたいなぁと思っていたから早速読むことにする。読み終えたら感想でも。