■「本所おけら長屋」は人気シリーズで最新第17巻の帯に累計140万部突破とある。昨日読み終えた第17巻に収録されている4篇のタイトルは今まで通りひらがな4文字。このような遊び心、好きだな。
「はんぶん」
廻船問屋を切り盛りする若くて美しい女将に気に入られて島田鉄斎が婿入りする・・・。おけら長屋の良識、鉄斎がいなくなると、おけら長屋はどうなってしまうだろう。婿入りは噂に過ぎず、今まで通り、おけら長屋で暮らすことが分かってみんな大喜び。
「みなのこ」
おけら長屋で暮らす久蔵とお梅の子どもの亀吉が寺の境内で寒天長屋の子どもの顔に石をぶつけて怪我をさせてしまう。だが目撃者がいない。おけら長屋の住人たちは亀吉のしたことではないと主張、寒天長屋の住人と騒動になる。両方の長屋の住人が奉行所に呼び出され、意見を求められる。おけら長屋の大家徳兵衛は**「(前略) もし、亀吉が怪我をさせたことが証明されたのなら、私はおけら長屋の大家として、すべての身代を売り払い、忠吉の両親(ふたおや)に差し出し、あとは・・・、老いぼれではございますが、私の命をもって償いをさせていただく覚悟でございます」**(271頁)と述べる。また、湯屋では両長屋(おけら長屋:お里、お咲、お奈津)の女性陣が素っ裸で取っ組み合いの大喧嘩。地蔵長屋の住人が、怪我をさせたのは自分の倅だと名乗り出て・・・、騒動は落着。
家族のように暮らしているおけら長屋の住人たち、人生お金じゃない、人とのつながりが大事なんだなあ、と改めて思った。