透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

十三夜

2021-10-18 | A あれこれ

 十三夜。陰暦の9月13日の夜の月。夜空に浮かぶ少し歪んだ月をしばらく見ていた。

整形の満月を愛でるという習慣は平安時代に中国から伝わったと何かで読んだ(読んだ書名は忘れてしまった)。少し歪(いびつ)な形の方を好むという心性が日本人にはあるようだ。都市計画然り。中国からシンメトリックな都の計画がこの国に伝わったが、いつの間にか、それがくずれてしまった。寺院の伽藍配置然り。

 
飛鳥寺の伽藍配置(左)と法隆寺西院の伽藍配置(右)「日本名建築写真選集4 法隆寺」新潮社より

寺院の伽藍配置における塔の位置の変化。塔が中心にあると伽藍全体の「バランス」が良くない、美しくない・・・。左右対称でかつ強い中心性を示す配置は日本人の美意識に合わなかった。浮かんできたのは非対称、塔を中心から外した伽藍配置。そのイメージに合わせて塔の位置を変えた・・・。


過去ログを再構成した。


牛鼻の龍

2021-10-18 | F 建築に棲む生き物たち




棲息地:上伊那郡辰野町沢底 撮影日2021.10.16

 立派な蔵、牛鼻に龍。棟木や母屋の小口を薄い鋼板で塞いでいる。小口が吸水して腐朽するのを防ぐ知恵。左の板張り部分は物入だろうか、どのように支えているのだろう。きちんと見ておくべきだった・・・。

辰野町の沢底地区では何棟も蔵を見かけた。蔵の妻壁上部の「牛鼻」には家紋や寿、水などの文字の他、縁起物の鶴や亀の造形が施されていることが多い。この蔵の牛鼻には龍が棲んでいる。は水の神であるから火除けの願いが込められているのだろう。

「建築に棲む生き物たち」に投稿するのは久しぶり。