■ 今日(27日)の信濃毎日新聞朝刊の15面教育欄に上掲した見出しの記事が掲載された。著者は数学者の秋山 仁氏。秋山氏は記事の中で**「もし、あなたがその理論を単純で非専門的な言葉で説明できないのなら、あなたは本当に理解してはいないのだ」**というラザフォードのことばを挙げている。ラザフォード・・・、高校の物理の教科書に出てきたような気がする名前。同記事に原子核模型を研究した人だと紹介されている。ラザフォードのこの言葉は知らなかったが、本当にその通りだと思う。
秋山氏は分かりやすい説明について次のように書いている。**始めに自分の言いたい主張を明確に述べ、全貌を俯瞰し、その問題の本質を理解させた上で、平易な言葉で理路整然と相手の腑に落ちるように話を展開すること。**
伊那市高遠町にて
なぜ末広がりのフォルムで脚がある火の見櫓は美しいのか?
構造的に合理的な形だから(ここでは構造的に合理的な形が美しい形だということを前提としている)、と一言で済ませたいがそれでは理解してもらえない。「曲げモーメントのグラフに相似する形だから」などと説明するのはダメ。風や地震の力に無理なく抵抗できる形と説明してもピンと来ないと思う。
もっと直感的にこのような形が構造的に合理的であることを理解してもらうことはできないだろうか・・・。
脚を横に大きく開いて立ってみてください。もうひとりの人があなたをぐっと押します。真横から腰のあたりを横に押される場合と後ろから前に押される場合とで、踏ん張れるのはどちら?
横から押される時ですよね。このことはおそらく経験的に皆さん知っています。
「上の火の見櫓は脚が4本あって横(左右)方向にも前後方向にも開いて立っているので、前後左右に風の力で押されても、地震の力にも踏ん張っていることができるのです」と説明すれば、自分の経験と照らし合わせて分かってもらえるのでは。ただし末広がり、別の言い方をすれば上方に向かって徐々に逓減していることについては、説明できていない。
僕はまず電線のたわむ様(カテナリー曲線)について触れ、このような火の見櫓が美しいのは自然の求めに素直に応じた形だからと、説明することがあるけれど、この説明ってどうなのかなぁ。