■ 男はつらいよシリーズの第39作「寅次郎物語」を観た。シリーズ全50作品の中でも寅さんの優しさが特に印象に残る。
ある日、柴又駅前でリュックサックを背負い野球帽をかぶる少年に満男が声をかけるところから物語は始まる。とらやでさくらやおばちゃんが少年に事情を訊く。少年は寅さんのテキヤ仲間の子どもで、秀吉という名前は寅さんがつけていた。父親がオレが死んだら寅さんを頼れと言い遺して亡くなったために郡山から出てきたという。母親は家出をして行方不明。
「出張」からとらやに帰ってきた寅さんは秀吉少年を連れて母親さがしの旅に出る。テキヤ仲間から母親が和歌山にいるらしいという情報を得て訪ねた旅館で、母親が奈良の吉野に行ったと聞いた寅さんは秀吉と吉野へ。
だが、母親は吉野から伊勢志摩へ行ってしまっていた。その日の夜、旅館で秀吉少年が発熱して寅さん大慌て。この時、隣の部屋に泊まっていた女性・隆子(秋吉久美子)が看病を買って出る。夜中に2代目のおいちゃんが演ずる老いた医者の診察を受ける。医者はふたりを夫婦だと思い(当然のこと)、隆子をおかあさんと呼ぶ。医者から今夜が峠だといわれるほど秀吉少年は重篤な状態。看病の甲斐あって明け方には熱も下がって、ふたりは一安心。
寅さんが所帯を持ったらどんな生活を送るだろう・・・。ファンのみならず、制作スタッフもそう思っているのかもしれない。吉野の旅館での出来事でそんな思いに山田監督が応えた、僕はそう思う。マドンナが寅さんをとうさんと呼び、寅さんがマドンナにかあさんと返すなんてこの作品しかない。この作品のマドンナ、かあさんは浅丘ルリ子でも竹下景子でもだめ。やはり秋吉久美子だった。
翌日、隆子と別れてふたりは伊勢志摩に向かう。島で病後療養している母親(五月みどり)とついに再会。母親が我が子を抱きしめる。このシーンに涙、涙。柴又に帰る寅さんについて行こうとする秀吉を寅さんがやさしく諭す。このシーンも泣ける。船(船長 すま けい)で島を離れる寅さん、岸で泣き叫ぶ少年・・・。だめだ、涙が止まらない。
正月、寅さんはテキヤ仲間のポンシュウと伊勢の二見浦で啖呵バイ。寅さんは秀吉少年とおかあさんと船長、三人が楽しそう歩いて行くところを岩陰からそっと見る。そして静かに言う。「そうか、船長が秀のてておやか・・・。いいだろう。あいつだったらいいだろう」
こちらはリアルな家族、寅さんとマドンナと秀吉少年は夢か幻の家族・・・。
「寅次郎物語」はシリーズのベスト5に次ぐ作品(*1)という評価を変えなければ。
*1 寅さんシリーズ全50作で特に印象に残る5作品とそれに次ぐ5作品は次の通り。
第10作「寅次郎夢枕」 八千草薫
第28作「寅次郎紙風船」 音無美紀子
第29作「寅次郎あじさいの恋」いしだあゆみ
第32作「口笛を吹く寅次郎」 竹下景子
第45作「寅次郎の青春」 風吹ジュン
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第 6作「純情篇」 若尾文子
第17作「寅次郎夕焼け小焼け」太地喜和子
第27作「浪花の恋の寅次郎」 松坂慶子
第38作「知床慕情」 竹下景子
第39作「寅次郎物語」 秋吉久美子
記事にしなかったが、他にも何作か観ている。タイトルとごく簡単なメモだけ挙げておきたい。
「インセプション」SF レオナルド・デカプリオ、渡辺 謙
「タイムライン」SF 原作マイケル・クライトン
「エベレスト」実際に起きた遭難事故を基に制作された映画
「レフト・ビハインド」
「オブルビリオン」SF トム クルーズ
「オフィシャル・シークレット」
「007 ユア・アイズ・オンリー」
「007 美しき獲物たち」