1347 諏訪市四賀 四賀公民館 4脚44型(踊り場の扱いでずっと迷っている)撮影日2022.06.16
■ 櫓の逓減する様はなかなか良いが脚が短め。諏訪型とでも名付けたくなるような、諏訪方面でよく見かける姿・形の火の見櫓。
面取りした見張り台。方杖に難あり。やはり柱の同じ位置から2本の方杖を出して欲しい。その方が美しい。梯子の上端を見張り台の床面で止めているが、これだと上ってきて見張り台に移るとき、その逆のとき、非常に怖い。床面から1メートルくらい突出させるのが好ましい。
平面が4角形(四角形と表記するのが一般的だが、敢えてこのように表記している)の櫓は水平構面が面内変形しやすい。この火の見櫓は各構面の4隅に火打を設置して変形を防いでいる。
トラス構造の脚。このような脚のつくり方が構造的にも見た目にも望ましい。
脚部に取り付けられている銘板に注目。この写真では読み取れないが、建設資金を寄附した20社の社名が記されている。寄付金の合計は334万円になる。この金額で建設費を賄えたのだろう。
銘板の左端に記された竣工年を見た時、昭和二十年かと思った。だが設立年がもっと後年の会社が複数記されていることから、昭和二十年ではないことが分かった。終戦の直前でもあるし。上の写真を見ると明らかに昭和六十年だ。この頃建設された火の見櫓は少ない。この頃になると部材相互の接合にリベットは使われず、ボルトが使われていたことがわかる(銘板の右奥にボルトが写っている)。
昭和三十年に辰野町に建設された、これと同様の型の火の見櫓について、拙著『あ、火の見櫓!』に契約書を載せて**請負金額は15万円です。これは今現在どのくらいの金額になるのでしょう。国家公務員の初任給を基準に単純計算すると、この火の見櫓の建設費は320万円くらいになります。これは安いような気がします。倍くらいになるでしょうか。**(168頁)と書いた。320万円、案外実際の金額に近い数字をはじいていたのかもしれない。