■ 6月も明日で終わる。はや半年が過ぎる。
今年を『源氏物語』の年と決めて少しずつ読み進めている。「源氏」を読まない日は他の小説を読む。今月(6月)の読了本は7冊。20代で読んだ本には水色のテープが貼ってあるから分かるが、今月は3冊読んだ。
『どくとるマンボウ青春記』(中公文庫1973年6版)
北杜夫の作品では一番よく知られているだろう。繰り返し何回も読んだ。
『幽霊』北 杜夫(新潮文庫1981年29刷)
幼少期の記憶をたどる心の深層への旅。
『山の音』川端康成(新潮文庫1957年発行、2022年新版発行)
新たに買い求めて再読した。初恋の女性によく似た息子の嫁。幼い時に母親を亡くした川端康成の母親探し。光源氏然り。
『収容所から来た遺書』辺見じゅん(文春文庫1992年1刷、2021年23刷)
おそらく今年もっとも印象に残る作品になるだろう。シベリヤ抑留、悲惨な日々。仲間を励まし続けたひとりの男、いつの世にも凄い人はいるものだ。
NHK・BS「週刊ブックレビュー」に出演しておられた辺見じゅんさんの和服姿が目に浮かぶ。
『小さな家の思想 方丈記を建築で読み解く』長尾重武(文春新書2022年)
**鴨長明は自らの終の棲家として、方丈庵を構想し、そこでの暮らしに安寧を見出しました。自分の死の形をそこに取り込み、そうすることによって生を輝かせることができた。そこに現代のわれわれが学べることは少なくないと思います。**(244,5頁)
『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム(ハヤカワ文庫1977年発行、1993年22刷)
SF小説の中でもっとも印象に残る作品。
『第四間氷期』安部公房(新潮文庫1970年発行、1971年2刷)
名作は再読に耐える。今読んでも古びてはいない。安部公房の他の作品も再読したい。そのために、自室の書棚に残したのだから・・・。