透明タペストリー

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バイオイメージング技術

2021-02-23 | D 新聞を読んで

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 「進歩するバイオイメージング技術」「光る生体細胞 詳細に観察」「蛍光・発光・透明化 人の病理診断に応用も」2月22日付信濃毎日新聞の7面(科学面)にこのような複数の見出しの記事が大きく紙面を割いて掲載されていた。

バイオイメージングというのは、記事の説明によると生体内の細胞や組織の活動を画像で捉えて解析することだという。このような技術の中でも狙った細胞を光らせて可視化する光イメージングという手法の進歩が著しく、更にその細胞周辺の組織を透明化する技術も開発されているそうだ。

記事には全身を透明化したマウスのガンだけピンク色に可視化した写真が載っているが、なるほど、癌の大きな病巣と転移したガンだけピンク色になっているので分かりやすい。「そうか、こんな技術が開発されているのか・・・」

記事の最後には**マウスの脳を対象に約1億個の細胞の一つ一つをカタログのように整理・解析する「全細胞解析」に成功している。**とある。

前稿で書いたように「『2001年宇宙の旅』講義」で著者の巽 孝之氏は映画の後半のボーマン船長の視覚体験について**モノリスという名のもうひとつのコンピュータ・マトリックスがボーマンという人間を素材にその生体情報をカットアップ/リミックス/サンプリングしているシーンにほかならないことが了解されよう。**(63頁)と書いている。

このようなことが実際に実現しつつあるということなのだろう。

更にここで思い出すのはスタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』というSF小説。惑星ソラリスを覆う海は「知的生命体」。この海には人の脳の思考活動や記憶を読み解く能力があり、その記憶のコピーをその人の前に出現させてしまう! 小説では主人公の既に亡くなっている恋人(のコピー)を出現させる。

「脳内情報を読み解き、そのコピーをつくってしまうなどということがSFの世界のことでなく、現実のことになる日がやってくるのかもしれないなぁ・・・」新聞記事を読んで、ふとこんなことを考えた。 過去にはこんな記事も(過去ログ)。


 


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