■ 新潮社の季刊誌『考える人』夏号には「村上春樹ロングインタビュー」が掲載されている。80ページにも及ぶまさにロングインタビュー特集。
―― 三日間、ほんとうにありがとうございました。こんなに話していただいて、村上さんの小説家としての姿勢やお考えについて、深いところまでさまざまに腑に落ちた三日間でした。
村上 大変だったね。さすがに疲れたな。
―― ありがとうございました。
雑誌の表紙にはインタビューが行われた箱根の古いホテルの階段を上ってくる村上春樹が、そして特集記事の最後のページにはその階段を下りていく村上春樹の後ろ姿が写っている。インタビューの始まりと終わりのビジュアルな表現。
インタビューは『1Q84』のBOOK4の可能性についても触れている。
『1Q84』のBOOK4なりBOOK0なりがあるかどうかは、いまは僕にも何とも言えない。ただ、いまの段階で言えるのは、あの前にも物語はあるし、あのあとにも物語があるということです。(後略)
と村上春樹は答えて、続篇の可能性を否定していない。今年の5月に箱根で3日間にわたって行われたインタビューは興味深い、春樹ファン必読。
他には「生物と無生物のあいだ」の福岡伸一と「日本辺境論」の内田樹(たつる)の対談が収録されている。
普段、雑誌は立ち読みで済ませているが充実の本誌は購入して読んだ(本稿中、敬称略)。