■ 寅さんシリーズ第9作「男はつらいよ 柴又慕情」
「寅さん」ってどんな映画なのか紹介するとき、ストーリーの展開についてはこの作品を取り上げるのが好い。
①旅から柴又に帰ってきた寅さんがとらやで大喧嘩してまた旅に出ていく。
②旅先でマドンナと出会い、楽しいひと時を過ごす。
③旅先で別れて、その後寅さんは再び柴又に帰ってくる。
④しばらく経って、マドンナがとらやに寅さんを訪ねてくる。
⑤マドンナの好意的な振舞いに寅さん勘違い、でウキウキ。
⑥実はマドンナには好きな人がいることが分かる。
⑦寅さん、失意の旅に出る。
⑧旅先で寅さん元気を取り戻している。
とまあ、こんなプロットになる。
①旅から帰って来た寅さんがとらやの店先に吊り下げてある「貸間有り」の札を見て「もうお前の住むところはないよ」って読めたな、と腹を立てる。これが発端となりすったもんだの大騒ぎ。で、怒ったおいちゃん「おまえが帰ってくるのは迷惑だよ!」。
②金沢。マドンナの歌子ちゃん(吉永小百合)が友だちふたり(マリ、みどり)と観光地を歩いている。兼六園の近くで啖呵売する寅さんを見かける。その夜、偶然3人と同じ旅館に泊まった寅さん。
福井。永平寺。みそ田楽の店で寅さんと歌子さん、ついにごたいめ~ん。
店の前で記念写真を撮ることに。で、寅さん「バター」。この一言で一気に打ち解けて一緒に楽しく観光。別れる時「寅さん、どうもありがとう。本当に楽しかったわ。(中略)会えてよかった」と歌子さん。
③柴又に帰って来た寅さん、マリとみどりに偶然再会。寅さんシリーズには偶然の再会が欠かせない。「歌子さんたら、あれから寅さんのことばっかり話してるのよ」とみどりから聞いて寅さんご機嫌。
④それから何日か経ち、「寅さん わたしよ、歌子です」とマドンナ再登場。
「マリちゃんやみどりさんから寅さんに会った話聞いてね、もう矢も楯もたまらず来てしまったの。会いたかったわ~」
茶の間で歓談。やはりマドンナはとらやの茶の間で寅さんはじめおいちゃんやおばちゃん、さくら、博たちとお茶したり、食事をしないと。そういう団欒の設定がないとダメ。
⑤柴又駅のホームで「またおいでよ」と寅さん、歌子さんがうれしそうに「うん」。寅さんルンルン。その後のことは省略。寅さんが怒ってまたとらやを出て行こうとする、まさにその時に歌子さんがやって来る。で寅さん何事もなかったかのように振る舞い、茶の間でまた団欒。
⑥歌子さんの少し寂し気な表情をさくらは見逃さない。さくらはいつもマドンナの心模様を察する。とらやに泊まることになった歌子さんがさくらに父親ともめていることを話す。「なにか、あったの?」と問うさくらに「父と、ちょっとね」と泣きそうになりながら。さくらのアパートで歌子さんはさくらと博に「結婚相談」をする。
アパートに歌子さんを迎えに行った寅さん、帰り道で結婚相談をしていたことを歌子さんから明かされる。「(前略)私決心がついたの。彼と結婚することを」自分のことかと思っていた寅さんのおめでたいこと。
⑦江戸川の土手。旅立つ寅さんのかばんには旅先の福井で歌子さんからもらった鈴が付いている。
「幸せになれそうでよかったね、歌子さん」
「うん」
「やっぱり寂しいの?」
「なんで?どうしておれが寂しいのよ」
「じゃあ、どうして旅に出てっちゃうの?」
「ほら、見な。あんな雲になりてえんだよ」こんなセリフ、言ってみたいなぁ。
⑧再び旅に出た寅さん。舎弟の登と再会、これもすごい偶然。川で手を洗っている登に向かって「おい、兄さんケツちゃんと拭いたか?」。
これで第24作「寅次郎春の夢」1作品のみ。
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