和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

残暑お見舞い。

2021-08-21 | 詩歌
またしても、暑い日がつづきます。
夏は汗だくで新陳代謝がよくなるようで
好きな季節なのですが、なんせバテます。

気分をかえようと、大野麦風の日本魚類の
錦絵を、図鑑からさがして、コンビニで
カラーコピー。A3サイズに拡大して
大き目の画用紙にセロテープで四隅を貼って、
それでもって、おもむろに壁に貼ります。

この錦絵は、泳いでいる魚の姿を写しているので、
見てると部屋に魚がおよぐような気分を味わえる。

そんな気分にひたっていると、
思い浮かぶ、詩がありました。

      鯛     高橋新吉

 大きい鯛が
 花屋の店先に泳いでいた

 鯛は海でも陸でも同じであるのであろう

 硝子の飾窓の中で
 ダリアと菊の間を
 鯛は悠々と泳いでいた

 お前は誰も相手にすな
 お前ひとりしかいないのだから
 いつもお前自身に話すがよい

 大きい鯛の胴体が
 あじさいの葉のかげを揺れて行つた

 歴史はタタミ鰯の中に
 幾枚も折りたたまれている
 鯛の鱗がアネモネの葉に一枚ついた
 尾鰭がチュウリップの茎に生えている

 サボテンの棘はクリスマスの夜の仮面の帽子にさすべし

 お前は死んだ後のことを知りもしないのになぜ脅えるのか

 白い鉄砲百合や薔薇の花の匂う店先で
 鯛は大きい眼玉を開いて
 口をパクパクして泳いでいる  
コメント
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