またしても、暑い日がつづきます。
夏は汗だくで新陳代謝がよくなるようで
好きな季節なのですが、なんせバテます。
気分をかえようと、大野麦風の日本魚類の
錦絵を、図鑑からさがして、コンビニで
カラーコピー。A3サイズに拡大して
大き目の画用紙にセロテープで四隅を貼って、
それでもって、おもむろに壁に貼ります。
この錦絵は、泳いでいる魚の姿を写しているので、
見てると部屋に魚がおよぐような気分を味わえる。
そんな気分にひたっていると、
思い浮かぶ、詩がありました。
鯛 高橋新吉
大きい鯛が
花屋の店先に泳いでいた
鯛は海でも陸でも同じであるのであろう
硝子の飾窓の中で
ダリアと菊の間を
鯛は悠々と泳いでいた
お前は誰も相手にすな
お前ひとりしかいないのだから
いつもお前自身に話すがよい
大きい鯛の胴体が
あじさいの葉のかげを揺れて行つた
歴史はタタミ鰯の中に
幾枚も折りたたまれている
鯛の鱗がアネモネの葉に一枚ついた
尾鰭がチュウリップの茎に生えている
サボテンの棘はクリスマスの夜の仮面の帽子にさすべし
お前は死んだ後のことを知りもしないのになぜ脅えるのか
白い鉄砲百合や薔薇の花の匂う店先で
鯛は大きい眼玉を開いて
口をパクパクして泳いでいる