安野光雅・藤原正彦対談「世にも美しい日本語入門」(ちくまプリマー新書)
古本で購入したこの新書をパラパラとひらいています。
う~ん。「夏休みの宿題」という言葉がある。
そこを引用。
安野】 「即興詩人」を夏休みの宿題にするなんて、すごいですね。
もしそれを読破できたら、もう大変な収穫ですよ。
池田弥三郎さんがどこかの女子大に行かれたおり、
『 入学試験は「即興詩人」の中から出す 』
と言って話題になったことがあります。
・・・・・・・
山田風太郎さんもこの本を
『 無人島へ持って行く一冊の本 』と書かれていました。
それを読んで、嬉しくなって
『 私も無人島に持って行く本だと思っていたので
嬉しかったです。返事はいりません。 』
と、書いて葉書を出しました。
山田さんはその葉書を捨てないでいてくださって、
後の回顧展が開かれた時、私の葉書が陳列されていました。
(p24)
う~ん。森鴎外の「即興詩人」は、読んだことがないのでした。
読んだことがない本が、夏休みの宿題だったり、入学試験問題だったり、
さらには、無人島に持ってゆく一冊だったりと、はたしてそれが、
どのように繋がるのかと、未読の私にはムニャムニャ感を覚えます。
そう思っていると、この新書の唱歌の箇所には、こうあるのでした。
藤原】 ・・・そうですね。文語体は入門としていいですね。
唱歌とか童謡には文語体が山ほどあります。
いきなり森鴎外ではなく。
まず唱歌と童謡でならして。
安野】 『われは海の子』という意味は、口語では言えないですね。
舞台に上がったような気持ちで、高揚した気分になれば言える。
藤原】 童謡とか唱歌を失ったせいか、最近の子どもは歌を歌わない。
われわれの子どもの頃は、学校の行き帰りに歌を歌ったりしましたが、
いまでは道を歩く子ども達が誰一人歌っていません。
・・・・・
明治から大正、昭和の初めにかけて、モラエスというポルトガルの
作家が徳島に住んでいました。
彼は日本人は歌ばかり歌っているというんですね。
大工はトンカチを叩きながら歌う。
お母さんは洗濯をしながら歌う。
行商人は歌を歌いながらやってくる。
子ども達は学校の行き帰り、歌を歌っている。
こんな歌ばかり歌っている国民はいないとびっくりしている。
それが今では、街から歌声が消えてしまいました。・・・・
日本人には無類の歌好きという遺伝子があるから、
世界語となったカラオケを発明したのでしょう。 (~p91)
はい。この新書。身近に置いてさっそくパラパラひらいてみます。
すっかり忘れてた、夏休みの宿題帳をひらく子供のような気持で。
モラエスは あまり有名ではないと思われますが
明治の初めに
神戸のポルトガル領事として
日本にやってきたのです。
神戸の公園には 彼の銅像もあります。
そして 私の属するマンドリンオケの指導者とデュオを組んでいる ポルトガル奏者さんがいて
彼らが作り演奏している「モラエス通りのブルース」という曲があり 私達も演奏しています。
コメントありがとうございます。
新田次郎・藤原正彦著「孤愁」
というのが、モラエスの評伝として
あるようなのですが、この機会に、
何だか触手が動きます。
ありがとうございます。
図書館にあったので 予約しました。
たぶん 読んでないと思うので(笑)