「埼玉神奈川のわらべ歌」は「日本わらべ歌全集8」(柳原書店)でした。
パラパラとわらべ歌をめくります。子守歌を引用してみます。
子守りゃ楽なようで ( ねかせ歌 )
子守りゃ楽なようで してみりゃつらい
おっかさんにしかられ 子に泣かれ
雨が降るときゃ 宿がない
このあとに『類歌』というのが載っておりました。
〇 子守り楽のよで、してみりゃつらい、
あま(姉)さんのおしえたおめざ唄。
( 「神奈川県民俗芸能誌」続編 )
〇 泣くな成田のお不動さま、
ねんねこ信濃の善光寺、
ねなけりゃ楽なよでつらいもの、
旦那にゃ叱られ 子にゃ泣かれ。
( 神奈川=薮田義雄著「わらべ唄風土記」 )
以上は、神奈川( p330 )。
地域性を歌った子守歌は、あとから注を読むと、ぐっと身近に感じます。
ということで、まずは歌から。
いか採り舟の歌 ( ねかせ歌 )
沖に見えるは いか採り舟か
さぞや寒かろよ 冷たかろ ヨーイヨイ
嫁に行くなら 西町(にしちょ)はおよし
のぼりくだりのよ 水かつぎ ヨーイヨイ
早く日が暮れ はや夜が明けて
三月二日がよ 来ればよい ヨーイヨイ
三月二日も 近寄りました
旦那おかみさんもよ お世話さま ヨーイヨイ
お世話さまとは 言いたいけれど
長々みじめによ あいました ヨーイヨイ
子守り叱んなんな 子守りはだいじ
子守り叱ればよ 子にあたる ヨーイヨイ
子守りゃ楽なようで してみりゃつらい
子守し叱ればよ 子にあたる ヨーイヨイ
( 逗子市小坪 )
今回の最後には、その注を引用しておわります。
〇 井戸の一つしかなかった当時の西町では水にとても不自由し、
朝早く起きて水を汲みに行く仕事は嫁にまかされていた。
そんな苦労を娘にさせたくないという親心がしのばれる。
〇 奉公人、嫁は三月三日のひな祭りには里へ帰ることが許されていた。
また二日は子守り奉公の年季明けの日であった。
〇 お世話さまと礼を言いたいが、随分とつらい思いもさせられ、
大変だったという気持も一言いいたい守り子の心境であろう。
〇 いか採りの沖の漁火を見ながら子守りをしたことから
このような題がついているものでこの地区だけの題名であるという。
( ~p334)
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