古本で、一度もページをめくられていない本に出合うことがあります。
安い古本を買ったはいいものの、私も一度もひらかなかったりします。
そんなことを、繰り返していたせいか。
まず古本への礼儀として、頁をめくる。
やっとそんな気持ちになっております。
さてっと、「日本わらべ歌全集10上」は「石川のわらべ歌」でした。
パラパラとひらくと、そこには歌と採譜とが並んで、みじかい解説。
祭事歌という箇所から引用。
精霊さん ( 盆 )
≪ 迎え火 ≫ 精霊(しょうらい)さん 精霊さん
この明かりに来てくさいませ
≪ 送り火 ≫ 精霊さん 精霊さん
この明かりに行ってくさいませ
( 羽咋(はくい)郡志雄町 )
「 志雄町(しおまち)荻ノ谷(おぎのやち)では、
この迎え火、送り火が、毎年の子供の行事として、
今も守られている。 」 (p174)
一銭三文 ( 地蔵盆 )
一銭三文 おろうそく一丁
上がりました また一丁 ( チーン )
( 江沼郡山中町 )
「 山中の地蔵盆は、子供たちの行事である。
8月24日の夕刻から、子供たちは
町内のお地蔵様の所へ集まり、
前日こしらえたヤタイ(仮設の拝殿)の前で、
町の人の地蔵参りを待ちうける。
お賽銭が上げられるたびに みなでうたい、
そのたびに鉦の音がチーンとはいる。 」(p174)
「 おろうそく一丁 」といえば、
「 祇園祭のお札売り 」が思い浮かびます。
ご安産のお守りは
これよりでます
ご信心のおん方さまは
うけてお帰りなされましょう
おろうそく一ちょう
献じられましょう
「 遠くから近くからきこえるお囃子に誘われて山鉾を順に回ります。
鉾の真下に立ってふり仰ぐと、お囃子の人たちが別世界の人のように
思えました。そのころ、鉾の上は女人禁制でしたから、
うらやましくて一そうそのように思えたのでしょう。
そんな中を、ひときわ高くきこえてくるのが、
お札を売る子どもたちの合唱です。
安産のお守りや腹帯は、
神功皇后(じんぐうこうごう)を祭る占出山(うらでやま)で売られます。
神功皇后は身重の体で新羅に出陣されましたが、ご安産であったという
故事から、京女の信仰は昔も今もあつく・・・
ちなみに、山鉾の巡行順序は、先頭をきる長刀鉾(なぎなたぼこ)
などは別として、くじで決められますが、占出山の順番が早い年は、
お産が軽いといって喜ばれます。・・・ 」
( p136~137 高橋美智子著「あんなのかぼちゃ」京都新聞社 )
祇園祭のお札売りは、まだありました。
最後は、それも引用しておきます。
厄除け 火除けの おちまきは これより出ます
つねは出ません こんばんかぎり
ご信心のおん方さまは
うけてお帰りなされましょう
おろうそく一ちょう献じられましょう
( p236 「日本わらべ歌全集15・京都のわらべ歌」 )