和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

おろうそく一丁献じられましょう

2024-11-02 | 詩歌
古本で、一度もページをめくられていない本に出合うことがあります。
安い古本を買ったはいいものの、私も一度もひらかなかったりします。

そんなことを、繰り返していたせいか。


まず古本への礼儀として、頁をめくる。
やっとそんな気持ちになっております。

さてっと、「日本わらべ歌全集10上」は「石川のわらべ歌」でした。
パラパラとひらくと、そこには歌と採譜とが並んで、みじかい解説。

祭事歌という箇所から引用。

       精霊さん    ( 盆 )

  ≪ 迎え火 ≫   精霊(しょうらい)さん 精霊さん
            この明かりに来てくさいませ

  ≪ 送り火 ≫   精霊さん 精霊さん
            この明かりに行ってくさいませ

                    ( 羽咋(はくい)郡志雄町 )

  「 志雄町(しおまち)荻ノ谷(おぎのやち)では、
    この迎え火、送り火が、毎年の子供の行事として、
    今も守られている。  」  (p174)
 

        一銭三文   ( 地蔵盆 )  

      一銭三文 おろうそく一丁 
      上がりました また一丁 ( チーン ) 

                 ( 江沼郡山中町 ) 

「  山中の地蔵盆は、子供たちの行事である。
   8月24日の夕刻から、子供たちは
   町内のお地蔵様の所へ集まり、
   前日こしらえたヤタイ(仮設の拝殿)の前で、
   町の人の地蔵参りを待ちうける。
   お賽銭が上げられるたびに みなでうたい、
   そのたびに鉦の音がチーンとはいる。  」(p174)


「 おろうそく一丁 」といえば、
「 祇園祭のお札売り 」が思い浮かびます。

      ご安産のお守りは
      これよりでます
      ご信心のおん方さまは
      うけてお帰りなされましょう
      おろうそく一ちょう
      献じられましょう


「 遠くから近くからきこえるお囃子に誘われて山鉾を順に回ります。
 鉾の真下に立ってふり仰ぐと、お囃子の人たちが別世界の人のように
 思えました。そのころ、鉾の上は女人禁制でしたから、
 うらやましくて一そうそのように思えたのでしょう。
 そんな中を、ひときわ高くきこえてくるのが、
 お札を売る子どもたちの合唱です。

 安産のお守りや腹帯は、
 神功皇后(じんぐうこうごう)を祭る占出山(うらでやま)で売られます。
 神功皇后は身重の体で新羅に出陣されましたが、ご安産であったという
 故事から、京女の信仰は昔も今もあつく・・・

 ちなみに、山鉾の巡行順序は、先頭をきる長刀鉾(なぎなたぼこ)
 などは別として、くじで決められますが、占出山の順番が早い年は、
 お産が軽いといって喜ばれます。・・・   」
    ( p136~137 高橋美智子著「あんなのかぼちゃ」京都新聞社 )

  祇園祭のお札売りは、まだありました。
  最後は、それも引用しておきます。

    厄除け 火除けの おちまきは これより出ます
    つねは出ません こんばんかぎり
    ご信心のおん方さまは
    うけてお帰りなされましょう
    おろうそく一ちょう献じられましょう   
        ( p236 「日本わらべ歌全集15・京都のわらべ歌」 )
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする