和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

涙が出るほどなつかしく。

2024-08-30 | 詩歌
わらべ歌エッセイとある、
高橋美智子著「うしろの正面」(柳原書店・昭和61年)が
古本で400円でしたので買っておいたのでした。

挿絵・装幀が森元良とあります。
表紙のカバー絵もしっくりしていて、
各わらべ歌に、ついている挿絵も違和感がない。

矢野暢氏が序文を書いておりまして、そこから引用。

「この本では、京のわらべ唄を素材に、実にしっとりとした
 居住空間としての京の街がみごとに描かれている。
 涙がでるほどなくかしく、美しい京の姿がここにはある。
 ・・・・
 漢字をつかう日本語の文章が多少とももつはずの圭角が、
 ここにはまったくない。それは、実にすばらしいことである。

 どうしてこのような文章が書けるのかを考えてみると、
 その秘密は歌にあることがわかる。文章それ自体が
 音の美しい流れとしてつづられているのである。 」

そして、こうも指摘されておりました。

「 どうやら、私たちは、もう少し歌うことのだいじさを
  再認識すべきである。心のなかに、身体のなかに
  美しい旋律とリズムとを絶えず満たしておくことは、
  日本人が日本人でありうるための条件であるのだ。
  バタ臭い歌だけうたっていればいいというわけではないように思う。 」

はい。この序文のことを思い浮かべながら、
挿絵・装幀をパラパラとめくっている幸せ。

8月28日に1時間に満たない講座をうけもったのですが、
予定を端折って語ったせいか、何か意に満たないものが残りました。
そのあとに、学校の屋上に皆さんであがったら、その屋上で
『復興の歌』の一番だけですが、ひとり歌いました。
うん。それですっきりする(笑)。

それでなのか、ひらいたのは
藤原正彦著「美しい日本の言霊(ことだま)」(PHP新書・2024年4月)。

その『まえがき』で、私はもう充分でした。
ということで、最後はそこから引用しておしまい。

「日本というのは実に不幸な国である。国土は狭小なうえ、
 大地震、大津波、大台風、大洪水、大噴火がひっきりなしに襲う。
 世界の地震の九割近くを一手に引き受ける環太平洋地震体の荒波に、
 四つの大火山がポッカリと頭を出している。
 というのが我が日本の姿である。

   こんな日本を見て、私は若い頃から、神様ほど不公平で
   無慈悲なものはないと思っていた。ところが年とともに、
   そうでもないと考えるようになった。

 日本は青い海に囲まれ、富士山をはじめとする
 絵のように美しい山や花、湖に恵まれている。
 そのうえ、世界でも珍しいはっきりした四季があり、
 季節ごとに国土は多彩な植生で覆われる。
  ・・・・・・・・・

 そればかりではない。天災ばかりのこの不幸な国土で、
 災害に遭遇した人々が助け合いながら生きているための知恵として、
 人々の絆、親切、自己犠牲、忍耐、秩序、勇気、正直、礼節などの形、
 そして何より惻隠(そくいん)の情が生まれた。
 一方、美しい国土からは類稀(たぐいまれ)な美的感性が育まれ、
 この二つがやがて結合し・・・・・        」

はい。私はここだけ読んで、先にすすめなくなりました(笑)。
ということで、今回はここまで。




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