パラパラ読みをしたあとに、何日かして、
気になって思い浮かべる箇所があったりします。
高橋美智子著「うしろの正面」(柳原書店)の
題名にもなった、わらべ歌の箇所がそれでした。
「坊さん坊さん」となっております。
そのはじまりは
「京都の冬、とりわけ1月から2月の寒さは格別である。」
とはじまっております。
坊さん 坊さん どこいくの
あの山越えて お使いに
わたしもいっしょに 連れてんか
お前が来ると じゃまになる
カンカン坊主 クソ坊主
うしろの正面 どなた
こうして歌詞と曲譜とを引用したあとをそのまま引用しておきたくなります。
「・・・子供たちが数人寄れば、往来の真ん中でもどこでも、
あたりかまわず大声をはりあげる愛唱歌であった。
『カンカン坊主』のところでは、坊さんに悪いなァと、
ちょっとうしろめたさを感じながら、かえって、
そんな気持ちをはじきとばすように、
一だんと声をはりあげたものである。
これまで、カンカン坊主の意味を深く考えてみたことはなかったが、
これは空也上人に始まる『鉢たたき』のことを、京わらべたちが
うたったものではなかろうか。鉦をたたき、念仏を唱えて歩く、
空也堂の僧たちの風変わりな寒中修行は、芭蕉をはじめ
有名な俳人たちが句に読んでいるくらい、昔は盛んであったとか。
立春を過ぎると、身を切られるような寒風托鉢も終わる。
だが、薄日のもれる空から風花がちらつく京の町に、春はまだ遠い。」
ほんとは、短いので全文を引用したくなるのですが、
なんせ、引用ばかりのブログなので、ここまでとします。